埼玉新聞

 

日本産で唯一の最高賞 秩父のイチローズモルト、英のウイスキー品評会で7回目のワールドベスト獲得 世界で最も権威…継続して評価されること重要「進むべき方向性を再確認できる」

  • WWA2025で最高賞を獲得したイチローズモルトとトロフィーを紹介する、ベンチャーウイスキーの吉川由美さん

    WWA2025で最高賞を獲得したイチローズモルトとトロフィーを紹介する、ベンチャーウイスキーの吉川由美さん=1日、秩父市みどりが丘

  • WWA2025で最高賞を獲得したイチローズモルトとトロフィーを紹介する、ベンチャーウイスキーの吉川由美さん

 秩父市みどりが丘のベンチャーウイスキーが製造・販売するウイスキー「イチローズモルト&グレーンブレンデッドジャパニーズウイスキー2025」が3月27日、世界で最も権威のある英国のウイスキー品評会「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)2025」のブレンデッドウイスキー・リミテッドリリース部門でワールドベスト(世界最高賞)に選ばれた。同社の世界最高賞受賞は7回目(同部門で6回、シングルカスク・シングルモルト部門で1回)。今回、最高賞を獲得した日本産ウイスキーは同社が唯一だった。

 WWAには毎年、約40カ国から1500銘柄以上がエントリー。同社が計6回最高賞に選ばれているブレンデッドウイスキー・リミテッドリリース部門は、大麦麦芽を発酵させたモルトウイスキーに、麦芽のほかトウモロコシなどの穀物を原料にしたグレーンウイスキーを混ぜ合わせたブレンデッドウイスキーで、製造5千本以下が対象。同社のウイスキーは、秩父、羽生、川崎の蒸留所で造った3種類の原酒を毎年厳選してブレンドしている。

 同社ブランドアンバサダーの吉川由美さんは今年の受賞ウイスキーを、「まろやかで熟成感がありつつも、フルーティーさをしっかり味わえる一杯」と説明する。500本限定、税込み24万2千円で3月から販売を開始したが、現在は入手困難で、「市内のバーなどに行けば味わえるかも」という。

 「ウイスキーは何十年と継続して評価されることが重要。権威ある賞を獲得するたびに、自分たちの進むべき方向性を再確認できるので、今回も全従業員の大きな励みになっている」と吉川さんは受賞を喜んだ。

 同社は現在、北海道苫小牧市内にトウモロコシを原料とするグレーンウイスキーの新蒸留所を建設中。5月から試運転を開始し、夏ごろに本格稼働する予定。秩父市内の2カ所のモルトウイスキー製造に次ぐ第3の蒸留所となり、総面積約6・6ヘクタール、年間生産量は2400キロリットルを見込む。製造開始後、3年間以上の熟成が必要のため、店頭に確実に並ぶのは30年ごろになりそう。

 吉川さんは「現在は、海外から調達したグレーンウイスキーを使って、ブレンデッドウイスキーを製造している商品もあるが、苫小牧のグレーンウイスキーが熟成されてくると、完全自社産のブレンデッドウイスキーが造れるようになる。秩父市内にも流通させていきたい」と話していた。

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