埼玉新聞

 

11年ぶりの400件超え 埼玉の24年度企業倒産 負債5千万円未満の小規模倒産が目立つ 「しばらくは緩やかな増加基調に」と見通し

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    11年ぶりの400件超え 埼玉の24年度企業倒産

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 帝国データバンク大宮支店が3日発表した2024年度の県内企業倒産集計(負債額1千万円以上、法的整理)は、前年同期比68件(19・9%)増の410件、負債総額は同83億8200万円(18・4%)増の539億1千万円だった。倒産件数が400件を超えたのは13年度(447件)以来、11年ぶり。負債5千万円未満の小規模倒産が全体の3分の2を占めた。コロナ禍の歴史的低水準から増加基調が鮮明になっている。

 業種別で分類可能な8業種中、5業種で増加。サービス業が107件(構成比26・1%)で最多。次いで、建設業が97件(同23・7%)、小売業が64件(同15・6%)で続いた。建設業は前年度と同じだったが、サービス業が49件増、小売業が17件増と突出。コロナ禍の各種金融支援策の効果が薄れてきたことに加え、飲食業などは物価高によるコスト増を思うように価格転嫁できていない現状がうかがえる。

 負債額の規模別では1千万円以上5千万円未満が273件(同66・6%)で最も多く、1億円以上5億円未満が65件(同15・9%)、5千万円以上1億円未満が58件(同14・1%)で続いた。

 負債10億円以上の大型倒産は、貸事務所業のALV(川口市、負債総額72億4500万円=7月)、建築工事の暁建設(戸田市、同51億8100万円=6月)など11件。

 要因別では販売不振が362件(同88・3%)で大半を占めた。放漫経営が13件(同3・2%)、その他の経営計画の失敗が7件(同1・7%)で続いた。売掛金回収難や業界不振などを含めた「不況型倒産」は369件で前年比70件増。全体の9割を占めた。

 業歴別では30年以上が115件(同28・0%)でトップ。5年以上10年未満が78件(同19・0%)、10年以上15年未満と20年以上30年未満がそれぞれ62件(同15・1%)で続いた。

 同支店では「県内の景況感は回復基調を維持しているものの、物価高や人手不足などの不安要素で力不足感は否めない」と分析。米国トランプ政権の関税対策が国内景気停滞の要因となる可能性もあり、「企業倒産はしばらくは緩やかな増加基調になるだろう」と見通した。

 3月単体の倒産件数は前年同月比1件(2・6%)減の38件。負債総額は71億8800万円(74・4%)減の24億6700万円だった。

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 東京商工リサーチ埼玉支店が4日発表した24年度の県内企業倒産状況(負債額1千万円以上)は前年同期比64件(17・9%)増の422件。負債総額は64億4400万円(13・9%)増の528億6千万円。3月単体では前年同月比2件(5・4%)減の35件。負債総額は67億円(69・3%)減の29億6500万円だった。

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