泣く泣く断念…世界大会の出場権を得ていた熊谷商高バトン部、昨夏は1人70万円の渡米費用を捻出できず 今年はCFなども視野、資金問題を解決図る 費用問題は頭が痛いが「今度こそ絶対に行く」
創部60年を迎えた県立熊谷商業高校(竹越利之校長)のバトン部は今夏に開催される、悲願の世界大会出場へ向け、日々練習に励んでいる。昨夏は出場権を得ながらも、資金面がネックとなり断念。今年はクラウドファンディング(CF)なども視野に資金問題の解決を図り、全国大会へ臨む。
同校バトン部は昨年7月、都内で開催された「全国高校ダンスドリル選手権大会2024」に出場。全国約180校の中から、初出場のPROP(プロップ)部門で全国4位となり世界大会への出場権を得た。プロップとは小物の意味。同部門は小道具を操りながら、工夫を凝らした構成で踊る。スーパーマリオブラザーズの衣装と箱(30センチ四方)を手にした、ダイナミックな同部員の演技が高く評価された。しかし、1人につき約70万円という高額な渡米費用の捻出が難しく、泣く泣く出場を断念した。
そんな姿を見てきた1、2年部員のチーム7人は、「今度こそ絶対に世界大会へ行く」と、力を込める。チーム名の「VIGORS(ヴィガーズ)」は活力や精神力の意味だ。副部長の嶋田愛音さん(17)は、「ハードな練習も(互いの)支え合いだからこそできる」。高橋有紀さん(17)と田中琉羽花さん(17)は、「テクニックは強豪校より劣るかもしれないが、チームワークで補っている」。橋本あのんさん(17)は、「周りの意見を尊重しながらやっている」。浅見優さん(17)は、「たくさんの人に笑顔を届けたい」。川島心那さん(16)は、「先輩たちがカッコよくて憧れ、入部を決めた」と意気込む。
真っすぐ前に脚を蹴り上げる基本のキックや、20種類以上のジャンプ。ダイナミックなパフォーマンスには、美しい決め方や元気のよい声も大事だという。顧問の森田純子教諭は「音を使わない応援の時代には歌いながら演技をした。だからチアには、声が大切」と説く。前任校でもチア部を率いた森田教諭。「全員が未経験者でもここまでできる。この子たちの吸収力と意気込みに引っ張られている」とほほ笑んだ。
部長の柿沼紗菜さん(17)は、「夏の大会では全国一を狙う。費用の問題は頭が痛いが、まずは新入部員に入ってもらい、バトン部の歴史を残していきたい。応援してください」と、声を弾ませた。