埼玉新聞

 

障害者アートをグッズに 印刷技術を集結、Tシャツや缶バッジなどに描かき販売 県印刷工業組合と福祉団体、川越でコラボイベント 障害者アートの認知拡大と印刷の面白さ発見に

  • 当日展示販売される障害者アートをデザインしたグッズ

    当日展示販売される障害者アートをデザインしたグッズ

  • 当日展示販売される障害者アートをデザインしたグッズ
  • イベントの準備を進める県印刷工業組合関係者ら

 印刷工業組合(さいたま市大宮区、惠勇人理事長)は26日、障害者アートの認知拡大と誰もが親しむ印刷の面白さを発見できるイベント「PRINTING×ART BRUT pointu」(埼玉新聞社など後援)を川越市のりそなコエドテラスで開く。障害者アートを手がける川口市の社会福祉法人みぬま福祉会「工房集」と連携。アートの展示販売やワークショップを開き、夜は飲食を交えた交流会も予定されている。惠理事長は「川越地域において素材や文化と工房集のアートが大胆に融合したコラボイベントにしたい」と話している。

 惠理事長は、組合の新しい価値を模索する中で、2020年から組合員で運営する障害者自立支援事業を展開。工房集に所属する障害者からデザインを提供してもらい、毎年カレンダーを制作してきた。組合で販売も管理し、収益を直接障害者本人に支払う仕組みを整えた。

 工房集には、約150人が仕事として絵画や書などさまざまなアートを生み出し、海外でも注目を集める障害者が多数所属している。

 今回のイベントでは、これまでの実績を踏まえ、障害者アートの可能性と印刷業界との連携をリアルに公開する場として位置付けている。

 会場では、25年版のカレンダーで採用された12点のアートをモチーフに、各組合員が得意とする印刷技術を集結させて制作したグッズを販売する。Tシャツやミニキャンバス、クリアファイル、缶バッジなどに描かれたアートは、デザインの世界観を壊さずに大事に作られたものばかり。当日は障害者アートの展示も行われる。

 会場ではワークショップも開催。表紙にアートを使い、糸で和紙を縫って製本する和とじ体験や、災害時に組み立てて使用できる折り紙食器の作り方を学べる。サテライト会場の櫻井印刷所では、手動の活版印刷機を使ったしおり印刷体験ができる(予約必要)。

 イベントの準備を進めてきた同組合グランドデザイン室の新井貴之室長は「今回の取り組みは、組合の新しい価値となる。普遍的な価値を正しく捉えながら、新しい技術と知識を学び、知恵を組み合わせることでイノベーションを起こしたい」と意気込む。イベントの収益金の一部は工房集に寄付される。

 開催時間は午前10時~午後9時。午後5時からは飲食を手がける組合員の協力でシェアキッチンでコエドビールや肉のワンプレートなどを提供する。

 入場無料。問い合わせは、同組合事務局(電話048・642・0414)へ。

ツイート シェア シェア