信じられない…高1女子が死亡、知人と別れたあとだった15歳 真面目に働く24歳、出くわした直後に襲ったか 会社の寮に住み、襲う前に社長と会話「見抜けなかった」 いつも整理整頓された24歳の部屋…驚きの光景
さいたま市桜区栄和6丁目のマンションで14日夜、同所に住む高校1年生の女子生徒(15)が男に刃物で刺殺された事件で、殺人容疑で逮捕された男(24)が犯行直前に女子生徒と出くわしたとみられることが捜査関係者への取材で分かった。県警は16日、男を同容疑でさいたま地検に送検した。
現時点で女子生徒と男の関係性が分かる情報はなく、県警は詳しい経緯や犯行動機、関係性の特定を急いでいる。これまでに県警へトラブルやストーカーの被害相談はなかったという。
事件は14日午後8時過ぎに発生。女子生徒は知人と市内の飲食店で過ごし、帰宅途中で自身が居住するマンションの出入り口付近で被害に遭った。上半身を中心に複数箇所刺されたとみられ、搬送先の病院で死亡した。司法解剖の結果、刃物による刺し傷が臓器まで達していたことも判明。強い力で刺したとみられる。現場からは血痕の付いた包丁が1本発見されている。
事件から約20分後の同日午後8時半過ぎ、現場から南に約1・4キロ離れた新開交番で、両手をけがして出血している男を警察官が確保し、その後逮捕した。調べに対して黙秘しているという。現場から交番までの道中には黒いリュックサックが落ちており、中には血痕のようなものが付いた本などが入っていた。県警が関連を調べている。
捜査関係者によると、現場周辺の防犯カメラには当初、2人が同一時間帯に別の場所で写り込んでいた。しかしその後、犯行直前になってマンションの出入り口付近で帰宅した女子生徒が写り込んだ直後、男が写り込んでいたという。県警は2人が事件発生の直前に出くわしたとみている。また、犯行の約1時間半ほど前から現場の半径約1キロ圏内を男に似た男が徘徊(はいかい)していたことも防犯カメラから判明した。
男は昨年10月ごろからさいたま市内の建設会社に勤務していた。現場周辺の土地勘があったとみられる。県警は15日、男が住んでいたとみられる同社の寮を家宅捜索した。
■男が働いた会社の社長謝罪「見抜けなかった」
男(24)が働いていた、さいたま市内の建設会社の男性社長(75)が16日、取材に応じ、「亡くなられた被害者の方やご家族、ご遺族の方々に大変申し訳なく思っています」と謝罪した。その上で、男については「働きぶりはすごく真面目だった。(事件を知った時は)びっくりして、信じられなかった」と語った。
社長によると、男を雇ったのは昨年10月中旬。昨年は現場に入るための準備期間で資格などを取得し、今年に入ってから現場でとび職をしていたという。「仕事は一日も休まないし、風呂やトイレ掃除なども率先してやっていた」と振り返る。
男は会社内の寮で暮らしていて、社長は事件当日の14日午後5時ごろに「飯食ったか」と声をかけ、普段は酒を飲まない男に「アルコール3%の甘いのを飲むか」と聞いたら「今日はいいです」と答えたという。「その時は事件を起こすそぶりは全くなかった」。会社を同6時半ごろに出て行ったとみられるといい、「(犯行を)見抜けなかったこと、止められなかったことが残念で仕方ない」と顔をしかめた。
ただ、仕事中や普段の態度はいつも通りだったとする一方で、事件後に男の部屋を見ると、中はちらかっていて、財布や会社の携帯電話も置きっ放しだったという。社長は「きちんと整理整頓ができる子なので、部屋の中を見てびっくりした。精神的に、何か心の乱れがあったのかもしれない」と察した。
社長は「なぜこんなことをしたのか、私たちも事情を知りたい。とにかく正直に全部話してほしい」と願い、言葉を結んだ。