埼玉新聞

 

中3女子を逮捕、面識ない親子を刺す…母殺す練習で 生徒の地元で動揺、誰なのか特定できず始業式へ

  • 中3女子が在住の戸田市

  • 会見する戸田市の戸ケ崎勤教育長=22日午後、戸田市

 東京都渋谷区の路上で20日夜に母親(53)と娘(19)が刺された事件が発生し、警視庁少年事件課は同日、殺人未遂容疑で戸田市に住む市立中学3年の女子生徒(15)を現行犯逮捕した。少女は容疑を認め「死刑になりたいと思い、たまたま見つけた2人を刺した。自分の母親を殺す予行練習をしようと思った」と供述している。

 逮捕容疑は20日午後7時20分ごろ、渋谷区円山町の路上で、帰宅しようと歩いていた東京都杉並区に住む母娘2人に背後から近づき、背中などを刃体の長さ約8・5センチの包丁で切り付けたり刺したりして殺害しようとした疑い。

 少年事件課によると、2人は少なくとも3カ月の重傷で、娘の背中の刺し傷は深さ10センチ以上に達していた。2人と少女は面識がなく、経緯を調べている。

 戸田市教育委員会は22日、記者会見し、戸ケ崎勤教育長は警視庁から情報提供がなく氏名や学校名が分からないとして、少女について「説明できることがない」とした。

■戸田市教委、事件の情報なく困惑

 事件を受けて戸田市教委は22日、オンラインで臨時学校長会議を開き、子どもたちに寄り添って指導するよう要請した。また、同日開いた記者会見では、殺人未遂容疑で逮捕された少女の特定ができておらず、困惑していると説明。詳細の把握とともに、新学期に向けて生徒たちの心のケアに努めるとした。

 小学校12校、中学校6校の校長らが参加した臨時学校長会議で、戸ケ崎勤教育長は「夏休みの終わりの時期で、子どもたちの動揺も大きい。改めて今まで以上に子どもたちに寄り添い、指導してほしい」「子どもたちや家庭の小さな変化のサインを見逃さないように、アンテナを高く上げてほしい。問題があったら担任のレベルにとどめることなく、学校がチームとして動けるよう心がけてほしい」などと校長らに要請した。

 同市教委は同日午後、市役所で記者会見を開いた。戸ケ崎教育長は「報道以上の情報はない。加害者となった女子生徒や学校の特定はできておらず、対応を考える上で困っている」とし、「どのような事情があろうとも、他人を傷つける行為は絶対に許されない。なぜ事件を起こしてしまったのか、原因の究明に努めたい」と話した。

 市内の中学校は25日に始業式を迎える。市教委として関係機関と連携を図りながら、当面、学校や家庭内での悩み事のアンケート調査を考えているという。

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