埼玉は全国で2番目に多く…低所得で病院受診ためらい死亡 入院費も心配、無保険の人も「氷山の一角」
2022/08/25/00:00
県民主医療機関連合会(埼玉民医連)は24日、経済的な理由で医療機関の受診が遅れるなどして死亡した人の報告を取りまとめ、2021年は県内で50~80代の男女5人が死亡したと発表した。福岡県の9人に続いて全国で2番目に多かった。
調査は全国706事業所が対象で、県内は病院や診療所など38事業所。5人のうち無保険状態が1人で、保険証が手元になかったケースが1人。保険証を持っていても、非正規雇用や低所得のために経済的に困窮し、受診を避けている状況だった。埼玉民医連は「全県の医療機関の状況を考慮すれば、氷山の一角に過ぎない」と説明した。
17年からの18例を分析した東洋大学の吉浦輪(とおる)教授は、17例が医療費の捻出が困難で、うち8例は収入や生活費がない状態だったと指摘した。症状を自覚しても苦痛が大きくなってから初めて受診を模索し、さらに入院費用などを心配して初動が遅れる場合があるという。5例では生活保護などの行政窓口の対応に問題があったとした。
埼玉民医連は(1)所得保障の拡充(2)非正規雇用者の規制や所得保障、社会保障の拡充(3)国民健康保険料の減額、一部負担金減免制度の拡充(4)自立支援のための相談機能充実―することを提言。行政窓口でも相談者の生活や家族の状況など全体を把握し、支援につなげるネットワークの強化が必要だと訴えた。