2人の関係を示す情報なく 交差点で見かけ犯行か 高1女子刺殺 直前に偶然、動機判明せず
さいたま市桜区栄和のマンションで14日夜、同所に住む高校1年生の女子生徒(15)が刃物で刺され殺害された事件で、現場付近にある防犯カメラに、それぞれ別の方向から来た女子生徒と、殺人容疑で逮捕、送検された男(25)が同じ時間帯に写っていたことが捜査関係者への取材で分かった。県警は、男が事件直前に女子生徒を初めて見かけて犯行に及んだ可能性もあるとみて捜査している。事件は21日で1週間を迎えたが、2人の関係性を示す情報はなく、犯行動機は判明していない。
事件は14日午後8時過ぎに発生。女子生徒は知人と市内の飲食店で過ごし、その後、居住するマンションの出入り口付近で被害に遭った。上半身を中心に複数箇所刺されたとみられる。男は事件後、現場から約1・4キロ離れた交番まで徒歩で逃走。通行人に通報を依頼し、その後確保、逮捕された。調べに対して雑談には応じるものの、事件については黙秘しているという。
男の事件前の足取りも少しずつ判明した。昨年10月ごろから現場から約500メートル離れた建設会社で勤務しており、同所の寮で生活。事件当日の午後6時台に寮から外出した後、現場の半径約1キロ圏内を東側中心に約1時間半ほど徘徊(はいかい)していた。女子生徒は同時間帯に同圏内の西側にいたことが分かっている。
捜査関係者によると、事件直前には現場マンションに面した北西側にある交差点で、同時間帯に男は北から南方向へ、女子生徒は西から東方向にそれぞれ歩いているのが周辺の防犯カメラに写っていた。県警はこれまでの捜査で2人の関係性を示す情報がないことから、2人の間に面識がなく、男が事件直前に偶然女子生徒を見かけて犯行に及んだ可能性もあるとみている。
現場からは血痕が付いた包丁が発見されたほか、男の自宅からは一見して使用した形跡がない包丁などが見つかっており、県警が押収している。犯行前の徘徊時には店舗や施設に立ち寄った形跡がないことから、事前に準備した包丁を部屋から持ち出して犯行に使用した可能性もあり、県警は計画性があったとみている。
■「まさかあの子が」 帰宅時にあいさつも
逮捕された男を少年時代から知る40代の会社員女性は事件を知ったとき、「まさかあの子が」と驚きを隠せなかったという。中学生や高校生の頃には帰宅時にあいさつを交わすこともあり、「あいさつもできる普通の子だった」と振り返る。1週間たっても事件の全容が明らかにならず、「動機が早く分かってほしい」と切に願っていた。
男の母親と世間話をすることがあったという別の女性によると、母親は昨年末に亡くなったという。「息子がいることも知らなかった。何があったんだろう」と不安そうに話していた。
事件から1週間がたった21日も、事件現場のマンションの出入り口に設置された献花台は添えられた花や菓子であふれていた。中学校のバスケットボール部の後輩だったという女子中学生(14)は献花台へ花を添え、「1週間たってもまだ信じられない。なんで先輩だったのか知りたい」と肩を落とした。