吉見町長選で神田氏が初当選 43票差で3選目指した現職破る 投票率が下落も小学校の統合再編やごみ処理場の問題などで現町政への批判票を固め、競り勝つ
43票の小差で、無所属新人で元町議会議長の神田隆氏(64)が、3選を目指していた現職の宮崎善雄氏(57)を破った吉見町長選。投票率が前回より約6ポイント下回る中で、小学校の統合再編やごみ処理場の問題などで現町政への批判票を固め、競り勝った。当選後、神田氏は町が進めている小学校の統合再編計画の見直しにも言及した。
20日午後11時過ぎ、選挙事務所前に多くの支持者が集まり、神田氏を祝福した。東松山市の森田光一市長をはじめ比企地域の首長、自民党の前衆院議員、県議らも駆け付けた。来賓の祝福を受けて神田氏は高揚した表情で「近隣の市町村とスムースに連携を取り、より良い町づくりを進めたい」と抱負を述べた。
その後、町役場で当選証書を受け取った神田氏は「宮崎町長の背中は大きかった。追いかけるのが大変で、やっと追い付いた」と選挙戦を振り返った。力になったのは、建設業関係の若い人たちや古くからの友人だったという。
今回の町長選で争点とされたのは、町内の6小学校の統合再編。1校に統合して学校を新設する町の計画に対し、神田氏は既存の2校への統合を訴えた。選挙戦では地域によって温度差はあったが、既存2校の地域では「学校を残してほしい」と「訴えが響いていた」という。
町が進めている統合再編ではスクールバスの路線について「まだ考えられていない」と指摘。今後は通学の問題なども含め総合的に計画を見直すという。時期については「今の学校を使うので、2年間あればできる」と話した。
一方、現職の宮崎氏の選挙事務所前では、落選の知らせに、集まった支持者から「信じられない」といった声が挙がった。宮崎氏は「申し訳ない」と頭を下げた。
今回は前回より862票も得票を減らす結果となった。町が進める学校統合再編やごみ処理施設の新設に対し、相手陣営は財政面で批判を展開。宮崎氏は「財源の内訳など説明不足だった」と話す。「20年先を見つめてやってきた。進む方向は間違っていない。でも、これが町民の選択。これが選挙です」