住民と登山客が一時孤立状態に 埼玉・小鹿野で土砂崩れ 人的被害や住家被害は確認されず 現場は幅4メートルの道路
2025/04/23/10:50
22日午前10時ごろ、小鹿野町両神薄の県道両神小鹿野線でのり面の土砂が崩落し、14世帯20人が暮らす集落が一時孤立状態となった。人的被害や住家被害は確認されていない。県は被害状況の把握と復旧に向けた調査を始め、同日午後2時から土砂の撤去作業を開始。応急復旧工事が完了し、午後8時半に通行規制が解除された。
住民については町が無事を確認し、市街地へ出ていて帰宅できなくなった数人には避難所を用意した。崩落箇所の先では路線バス1台と登山客らの乗用車10台程度が取り残され、一時22人が孤立状態になった。小鹿野署によると、県警山岳救助隊が別のルートを切り開いて18人が下山した。
県によると、現場は車線のない幅4メートルの道路で、沢になっている谷側にガードレールが設置されている。崩落したのり面は長さ12メートル、幅10メートル。山肌にコンクリートを吹きつける形で施工され、崩落した土の量は概算で約100立方メートル。電力、通信、ガスなどのライフラインは通常通り供給されていて、必要があれば現場近くの宿泊施設も活用できるという。
崩落現場視察のため、定例会見をオンラインで行った大野知事は「すでに工事業者の方々にお集まりいただき、土砂撤去作業を行っている。原因の究明とともに、さらなる崩落の防止と復旧工事を行う。連絡を取り合いながら必要な措置を行っていく」と述べた。
県は孤立集落発生を防止するため、2025年度予算に3億6400万円を計上。崩落現場は、迂回(うかい)路のない県道の落石防護対策などを実施するハード対策事業と、変位観測装置を設置して異常発生を自動で通知するソフト対策事業の対象となっていた。