尼崎事故負傷者の20年記し出版 東日本大震災の被災者も協力
2025/04/23/15:27
2005年の尼崎JR脱線事故で重傷を負ったデザイナーの小椋聡さん(55)=兵庫県多可町=は今月、事故から20年間の負傷者らの歩みを記録した本を出版した。「事故を知らない世代が増える中、苦難と向き合った心境を形に残したい」との思いからで、取り組みに共感した東日本大震災の被災者も編集に協力した。
タイトルは「わたしたちはどう生きるのか―JR福知山線脱線事故から20年」。
事故当時、会社員だった小椋さんは通勤で2両目に乗車し事故に巻き込まれ、右脚骨折の重傷を負ったが一命は取り留めた。
負傷者への聞き取りや記者の取材対応に常に同席していた妻朋子さん(56)が08年、双極性障害(そううつ病)を発症。朋子さんのそばにいようと同年退職し、デザイナーとして独立。現場から離れた多可町の古民家を購入し自宅兼事務所に改修した。
講演会場としても自宅を利用し、集まった人たちに経験を語った。取材を含め数百回と話してきたが、年齢を重ねるにつれて活動を続ける難しさを感じ、本にまとめることを企画した。