埼玉・川口の環境センター火災…巨額の復旧費、67億4千万円と判明 10月から一部再稼働 リチウムイオン電池の捨て方「全国的な問題に」
川口市は25日、1月に発生した火災で稼働を停止している朝日環境センターについて、10月1日に焼却処理を一部再開すると発表した。また、今回の火災に伴う施設復旧や他自治体などへのごみ処理委託費などの総額は、約67億4千万円になると明らかにした。
朝日環境センターでは1月3日、ごみをためておく「ごみピット」から火災が発生し、施設の一部が破損して修繕が必要となったことから、一般ごみの受け入れと処理を停止している。火災の原因は不明。リチウムイオン電池など、何らかの発火物がごみに交じっていたとみられている。
同センターなどによると、市はこれまで、施設の一部焼却処理再開予定日をことし12月1日としていたが、施設の被害調査を行ったところ、大梁や柱の構造躯体への影響がなかったことから、建築構造物補修工事の工期が短縮できることになったとしている。被害を受けたごみクレーンの復旧に必要な資材を確保できたことも前倒しの理由とした。
一部焼却処理再開後の焼却量は日量140トンで、同センターの最大焼却量420トンの約3分の1程度という。今後は9月をめどに復旧したごみクレーン1基を運転して、ごみピットに残るごみを焼却。10月にごみ収集車の受け入れを一部再開し、来年3月、もう1基のクレーンを復旧し、焼却炉の本格運転を再開する。
また、今回の火災に伴う施設復旧などの費用についてはクレーンの復旧など、ごみピット火災にかかる費用が24億9932万円、他自治体などへのごみ処理委託費、収集業務費が42億4448万円で、総額67億4381万円に上ることが明らかになった。費用総額を市人口(約60万7千人)で割ると、1人当たり1万円以上となる。市は今後、補正予算案を市議会に提案するなどして対応する。
市は今後、発火の可能性があるリチウムイオン電池について、拠点収集の実施を予定しているほか、処分方法のさらなる周知啓発を進めるとしており、同日会見した奥ノ木信夫市長は「リチウムイオン電池の捨て方は、川口だけでなく、全国的に考えなければならない問題」と指摘した。