買い物ツアーが好評 埼玉の地域に根差したスーパー 月1回、歴史を知り尽くした元店長が案内 青果から鮮魚、すし、精肉、総菜など、全ての売り場を案内 各担当者が魅力や特徴を説明 参加は無料で試食も 「大手との違いを出したい」
今春から始まった買い物ツアーが好評だ。といっても観光会社の旅行やバスツアーとは違う。実は深谷市内のスーパーマーケット内を巡るツアー。地域に根差した同市荒川の食品館ハーズ(米山伸仁代表取締役)が月1回実施している特別企画。
1985年、花園ショッピングセンター協同組合として設立。食品館ハーズは97年に開店。今の店舗は2013年にグランドオープン。
単独店。大手と同じ事をやっていても価格では競争できない。物価高、どうやったら安くできるか。毎週出していた新聞の折り込みを、月1回に絞ったのもその一つ。
その中で商品の質や品揃え、健康志向など「われわれがしっかりやっている取り組みを地域の人たちに少しでも理解、知ってもらおう」(米山社長)と企画した。
店内の掲示板に「佐藤さんと一緒に買い物ツアー」の案内を張り出した。参加は無料で、募集人員は5人。案内は同社の歴史を知り尽くした元店長の佐藤勇次郎さん。
ツアーは午前中の1時間程。青果から鮮魚、すし、精肉、総菜など、全ての売り場を案内、各担当者が魅力や特徴を説明、参加者限定の試食も用意し、参加者の質問にも丁寧に答えていた。
例えば青果売り場では高級フルーツ店クラスの鮮度の良い果物や、この日に仕入れたばかりの北海道産のアスパラガスなどが紹介された。試食した参加者は「甘くて、おいしい」と絶賛。鮮魚売り場は対面販売。豊洲市場から直送し、鮮度を保つために曇らないフィルムをかぶせるなどの工夫をしていることや、手間暇をかけて出していることなどが分かった。精肉売り場では地元の深谷牛(和牛)を一頭買いしているため希少部位も提供できるという。
これまでに2回、実施。60代の男性は「ほぼ毎日、きている。各売り場の担当者の話が聞けて良かった。試食は全部、おいしかった」。70代の女性は「商品を大切にしていることや、その心がけが良く分かった。これからも安心して購入できる」。別の60代男性は「(スタッフの皆さんを)より身近に感じることができた」などと話していた。
同社は「お客さまとのコミュニケーションを大切に今後も実施、大手との違いを出したい」としている。