埼玉の先生「危機的状況」 採用試験の競争率低下 高校は7・0→4・1倍に 大学生へ「教師塾」開講も
2022/09/10/00:00
都道府県や政令指定都市の教育委員会などが2021年度に実施した公立小学校の教員採用試験の競争率は、全国平均で20年度より0・1ポイント低い2・5倍となり4年連続で過去最低になったことが9日、文部科学省の調査で分かった。教員の質を保てなくなる懸念があるとして、文科省は競争率向上へ働きやすい環境の整備を進める。
■教育長、「危機的な状況」
文部科学省の調査によると、2021年度に実施した県内公立学校(さいたま市除く)の教職員採用試験の競争率は、小学校が2・2倍(20年度2・6倍)、中学校が3・8倍(同4・3倍)、高校が4・1倍(同7・0倍)で、いずれも昨年度より低下した。高田直芳教育長は9日の定例会見で、「より良い教育を届けるためには、優秀な若者に教員になってもらうことが重要。ある意味では危機的な状況」とし、「教師の魅力を認識してもらうことと、働き方改革を同時に進めることで環境を整えたい」と説明した。
全体の受験者数は20年度より247人減の5860人、採用者数は同303人増の1873人で、競争率は同0・8ポイント減の3・1倍だった。さいたま市の小学校の競争率は2・4倍(同2・5倍)。
県は学生に教員の魅力を実感してもらうため、22年度から新たに「彩の国かがやき教師塾」を開始。大学2年生を対象に小中学校に計約200人をボランティアとして派遣し、現場で教員の補助や児童生徒の支援をすることで仕事を体験的に学ぶことができる。23年1月からは大学3年生約80人を対象に、より専門的な内容を学ぶ体験実習や講義などを受ける「マスターコース」も開講。優れた教員の確保を目指すとしている。