埼玉新聞

 

浦和レッズ“崖っぷちの男”DF知念、柏戦で汚名返上 救ったワンくんの言葉、背水の覚悟「ちばりよー」

  • 攻守で積極的なプレーを見せ柏戦勝利に知念貢献

 「崖っぷちの男」浦和のDF知念哲矢が、汚名返上のプレーでスタジアムを沸かせた。10日のホーム柏戦で公式戦7試合ぶりにスタメン出場。最終ラインでショルツとコンビを組み、4―1の勝利に貢献した。

 試合後取材エリアにやってきた知念からは、安堵(あんど)の表情が見られた。8月6日の名古屋戦で、自身のミスから失点しチームも敗れた。「自分のプレーが出せず消極的なプレーが悔しかった」。試合後は気丈に振る舞う姿があったが、沈んだ顔は隠せなかった。

 次節の磐田戦では、ベンチに座ったが出場機会は与えられなかった。それどころか、試合終盤にはボランチの伊藤をセンターバックで試す屈辱の采配を目の前で見つめた。「仕方ないと思い、ハングリーさを持って毎日練習を続けた」

 落ち込んだ知念の心を救ったのは、けがで長期離脱中の犬飼の言葉だった。「『ワン(犬飼)くんって失点に絡んだミスあります?』と聞いたら、何十回もあるよ。全然気にしないでいいよ」。同ポジションの先輩の一言で、気持ちが前向きになれたという。

 新型コロナウイルスの感染者が出たことでチャンスは再び訪れた。「今日名古屋戦のようなミスをしたら、もう(プレーする機会は)ないなと思って割り切った」。背水の覚悟は、逆に知念に勇気を与えた。先制点につながった大久保へのパスを通すなどビルドアップでも進化を見せた。

 攻守で積極的なプレーが目立ち、後半12分にはJ1初得点も記録。明本のシュートに反応し、ゴール前で確実に押し込んだ。「明本選手のゴールを奪った形みたいだったんですけど、ありがとうと感謝しました」と照れくさそうに顔をしかめた。

 自信を取り戻した背番号20は、戦力としての価値を証明した。今季浦和に加入した沖縄出身の24歳の本領は、まだまだこれから。知念、「ちばりよー(頑張れ)」。

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