4色の古代米を次代へ…4種ブレンドで絶妙ハーモニー「食卓が華やかに」 健康、美容志向の消費者に好評
深谷市永田の農業野辺薫さん(48)が、父から受け継いだ複数種の古代米の栽培に力を入れている。作っているのは赤米、黒米、紫黒米、緑米の4種。1町4反の田んぼを全て食用の古代米に充てており、普通のうるち米はやっていない。特に4種をミックスした混合米が売りで、健康志向、美容志向の消費者を中心に好評を得ているという。
父松治さん(84)が古代米の栽培を始めたのは、およそ30年前。25年ほど前からは複数種の混合米を作り始めた。もともと会社員だった野辺さんは、30歳を過ぎたころから父の手伝いを始め、「いつか自分でやりたいと思っていた」という。両親が高齢になり仕事が困難になる中で、「せっかく作ってきた4色の古代米がなくなってしまうのは残念。何とかつないでいきたい」と、1年前に退職して本格的に農業の道へ進んだ。
4種の古代米は別々の田んぼで栽培。収穫、脱穀後に混ぜる。同じ田んぼで育てて一遍に刈る方法もあるが、種類によって成長に差があるため、分けて栽培し一番適した時期に刈ることで、より品質を高める。配合にも工夫を重ね、毎年微妙に割合を変更。野辺さんによると、赤米は「プチっとした食感」、黒米は「甘味が一番強い」、紫黒米は「苦味や渋みのアクセント」、緑米は「もっちりして甘い」などの特長があり、これらを混ぜると絶妙な風味と食感のハーモニーが生まれるという。
4種のうち野辺さんが重視するのは、希少種という黒米。稲穂の丈が160~170センチと高いので倒れやすく、実も落ちやすいため、栽培が難しい。コンバインが入れられず、稲刈りは手作業が多くなる。各種類とも株と株の間を広げ、風通しをよくして病気を防ぐなどの工夫をする一方、「人間の体に良いものを作りたい」と農薬には極力頼らず、有機肥料のみで栽培する。
約1年前から、東京都内で定期的に開かれるマルシェに出店。4月以降に試食を出し始めたところ、お客さんから「おいしい」と好評で、「次はいつ来るんですか」「どこで買えますか」などと聞かれるようになった。売り上げも30~40%伸びたという。
古代米はそれぞれ色が付いているため、調理すると見た目が鮮やかで、「食卓が華やかになる」という効果も。野辺さんは「古代米を食べて、健康になってもらって、家庭が幸せになってもらえれば。今後も消費者の方に安全なもの、健康なものを提供していきたい」と意気込んでいる。
古代米に関する問い合わせは、野辺さん(電話090・2206・1744)へ。