埼玉新聞

 

仕事でトラブルか…内装会社の社長焼死 朝霞の放火殺人で容疑の男2人逮捕 事件発生から半年、急展開

  • 火災現場での現場検証を行う警察関係者ら=5月16日午前、埼玉県朝霞市上内間木

 5月、朝霞市上内間木の内装会社「長葭(ながよし)内装」で事務所兼作業場のプレハブが全焼し、同社社長の男性=当時(43)=が死亡した放火殺人事件で、朝霞署捜査本部は20日、殺人と現住建造物等放火の疑いで、小川町小川、内装業の男(37)と越谷市南越谷1丁目、元内装工で無職の男(31)を逮捕した。

 逮捕容疑は共謀して5月14日、長葭内装の事務所兼作業場内で、男性に対し、何らかの鈍器で複数回殴打する暴行を加えた上、同所に火を放ち、殺害した疑い。

 捜査本部によると、男性と両容疑者は内装業を行う職人同士。男性が元請けで仕事を取ってきて、2人に仕事を委託していたという。

 両容疑者は犯行前日の5月13日から当日の同14日にかけて都内で男性と内装関係の仕事をしていて午前4時過ぎに車で長葭内装に帰社。いったん解散したが、内装業の男の車に無職の男が乗り、再び現場に戻ってきて犯行に及んでいた。通行人からの火災の119番は午前9時50分ごろ。その直前まで男性は生存していたとみられ、犯行時間帯に周辺の防犯カメラに内装業の男の車に同乗する2人の姿が映っていたという。

 同本部は男性の上半身に複数の骨折痕がある上、死因は焼死で男性の血中から一酸化炭素が検出されたことから、犯人が暴行後、生きている状態で火を付けたとして放火殺人と断定。強い恨みがあるとして、男性とトラブルのあった人物に絞って、防犯カメラや携帯電話の精査などの捜査をしていた。

 普段は火の気がない屋内から出火したとみられ、消防隊突入時には出入り口のドアは施錠されていた。会社は事務所と作業場に分かれ遺体は事務所スペースで発見された。

 同本部は共犯事件で捜査に支障があるとして、2人の認否は明らかにしていないが、男性と仕事上の金銭トラブルがあったとみて、犯行に至った経緯を調べている。

■近隣住民ら一様に驚き

 発生から半年が経過し急展開した朝霞市の放火殺人事件。逮捕された2容疑者の近隣住民らは当時と変わらない様子だったと語り、驚きを隠さなかった。

 近隣住民らによると、無職の男は妻とみられる女性と3人の子どもとの5人暮らし。4~6年ほど前に引っ越してきたという。

 60代の女性が最後に無職の男を見かけたのは3~4カ月前。以前から子どもと仲良さそうにしていたが、当時も特に異変を感じることはなかったという。近所付き合いはなく、見かけたときに軽く会釈をする程度の関係性で「たまに自転車でどこかに行くことがあるが、仕事をしているのか分からなかった」と振り返った。

 一方、内装業の男の自宅周辺に住む男性は「あいさつをしたら返してくれる普通の人。信じられない」と話す。会社員女性は「車で夜、帰ってくるところを(複数回)見たことがある」と語り、「普通の家族だと思う。驚いている」と話した。

■真実を明らかに 男性の遺族のコメント

 息子はもっと生きていただろうにと思うと悲しみ、悔しさで胸が張り裂けそうになり、この気持ちは生涯続くと思います。犯人を到底許すことはできませんが、なぜ息子が殺されなければならなかったのか、今後の捜査や裁判を通して真実を明らかにしてほしいと願っています。

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