埼玉新聞

 

SNSで人気拡大、敏感肌用下着リニューアル 乳がん患者からの支持も増加 島崎、今季の秋冬商品から販売

  • 7月から順次販売されるリニューアルした「フリープ」を紹介する嶋崎博之社長=島崎の東京営業所(東京都新宿区)

 婦人下着製造・販売の島崎(秩父市)は、2007年に発売した肌が敏感な人向けの下着ブランド「フリープ」の一部シリーズを7年ぶりにリニューアルした。敏感肌に悩む女性だけでなく、近年、乳がん患者や乳がん看護専門の認定看護師からの支持も増加。がん患者や医療関係者の意見も踏まえて仕様などを改良し、今季の秋冬商品から販売する。

 フリープは日本アトピー協会推薦の綿生地「スマイルコットン」を使用している。縫い目やタグは表側に出し、ゴムの代わりにパワーネットで締め付け感を軽減。岩手県陸前高田市の自社工場で1枚1枚縫製している。デザインや色も豊富で、現在9シリーズを展開。発売から売り上げを伸ばし、毎年2ケタ増で成長している同社の人気商品だ。

■医療機関も注目

 5年ほど前から、乳がん患者の術後の下着としてもSNSで人気が拡大。認定看護師の間でも評判が広がった。嶋崎博之社長(45)は「学会での企業ブース出展を重ね、現在、約100の病院で商品が紹介されている」という。

 毎年600通ほど寄せられる手紙(アンケート)や医療機関を通じて、一般の使用者だけでなく、乳がん患者や認定看護師の意見も蓄積。今回、同商品の「シンプルシリーズ」のリニューアルに生かした。ブラジャーについては、パットを入れやすいようポケット口を広くしたり、カップ裏の縫い目をなくし凹凸のない肌当たりにするなど改良。カラーも一新した。

 今月上旬に開かれた内覧会では、百貨店や通販会社など約30社のバイヤーらが来社。「こんなところまで修正しているか」と驚きの声が上がったという。

■女性の思いに応える

 フリープは乳がん患者専門の下着ではないが、支持を得る理由について、嶋崎社長は「普段と変わらない下着を身に着けたいと思う乳がん患者は多い。その点、フリープは術後の皮膚に優しく、デザインや色も豊富。それがQOL(生活の質)や精神的な充足につながっているのではないか」と分析。機能とともに女性の思いや感覚に応え得る要素も同商品の強みだ。

 「下着は第二の皮膚と言われる。悩みを解決するものづくりを今後も貫いていきたい」とし、敏感肌の男性用フリープの普及や、同じように肌で悩む訪日外国人への認知なども進めていく考えだ。

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