埼玉新聞

 

きょうから秩父夜祭、待望の見どころは 大勢の客が集まる見込み 豪華絢爛な山車6基、秩父市中心部へ

  • 本番に備え、宮地屋台の回り舞台を確認する秩父歌舞伎正和会の坂本益義会長(手前)=11月27日午後、秩父市中宮地町

 秩父神社の例大祭「秩父夜祭」(ユネスコ無形文化遺産)が2、3日、秩父市中心部で行われる。今年は山車の曳(ひ)き回しと共に、屋台両袖に舞台を特設しての地芝居(秩父歌舞伎)も3年ぶりに復活する。秩父歌舞伎正和会は、演目「菅原伝授手習鑑 三段目吉田社頭車引之場」を、今年の当番町となる宮地の屋台で2日間にわたり上演。同会の坂本益義会長(73)は「夜祭の舞台は自分たちの活動の原点。各屋台町会の協力で伝統が維持できていることに感謝し、今回はわれわれの十八番(おはこ)の演目で会場を魅了したい」と力を込める。

 同会は戦後間もない1947年、「出徒遺家族慰問の夕べ」で歌舞伎を演じた秩父地域の人々が中心となって結成。今年3月で75周年を迎えた。活動の場は、秩父祭における「屋台芝居」にはじまり、椿森諏訪神社(同市上影森)、市内の農村歌舞伎舞台、関東圏内の各神社など幅広く、見物料金は取っていない。

 「われわれはプロではなく、本当に歌舞伎が好きな人たちで構成している。かつら、衣裳の手配や手入れ、舞台作り、演出など全て、自分たちで行う」と坂本会長は説明する。コロナ禍における体調管理も自己防衛を徹底。中学生から70代の現メンバー24人は、検温、消毒、マスク着用を心がけ、日々稽古に打ち込む。

 3年ぶりの夜祭公演は、秩父地方の歌舞伎で上演頻度が最も多い三段目車引。「原点に返るつもりで、歌舞伎を初めて見る人たちにも分かりやすい演目を選んだ。三つ子の兄弟(梅王丸、松王丸、桜丸)の所作が見どころ」と坂本会長は話す。

 宮地屋台での上演は、2日正午から愛宕神社(同市中宮地町28)境内で、3日は午後0時半から秩父神社(同市番場町)境内で行われる。3日午後4時からは矢尾百貨店(同市上町)で、同会の秩父歌舞伎公演が予定されている。

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