埼玉新聞

 

ウエルシアのサポートに称賛、埼玉・長瀞町と移動販売車スタート 山間地支援、薬剤師がオンライン相談も

  • 移動販売車両「うえたん号」で買い物を楽しむ唐沢集落の住民ら=11月30日、長瀞町中野上

 地域住民の健康増進とコミュニケーション促進を目的に、埼玉県長瀞町とウエルシア薬局(東京都千代田区)は、移動販売車両「うえたん号」の運行を開始した。平日週5回(年末年始などを除く)、山間地域を中心に町内計35カ所を定期巡回している。車両には生活必需品のほか、薬剤師らとのオンライン健康相談が行えるモニターや、キャッシュレス決済機能を搭載し、高齢者の見守り活動につなげていく。

 同町では、高齢者の介護予防やひきこもり防止、近隣住民との交流機会を増やす手段として、町民の通いの場づくりを支援している。生活必需品の販売に加え、高齢者の見守りも行える移動販売事業者を募集したところ、ウエルシア薬局から申し込みがあり、8月に採択した。

 同薬局は全国に約2700店舗を展開。今年5月に静岡県島田市内で「うえたん号」第1号を運行させ、今回が2号目となる。車両には、ウエルシア薬局長瀞店(同町長瀞)店内で販売している衛生用品や冷凍食品、健康食品、化粧品など約700品目を積み込み、店頭と同等の価格で販売。

 車両後部に搭載した大型モニターは、同店の薬剤師や管理栄養士らが健康相談をオンラインで応じ、事前注文で第1類医薬品も販売する。クレジット・キャッシュレス決済、Tポイント付与、公共料金などの収納代行サービスも展開し、住民に通いの場を提供していく。

 11月30日に同店で出発式が行われ、大沢タキ江町長や同薬局の田中純一副社長らがテープカット。その後、最初の販売場所「唐沢集落農業センター」(同町中野上)にうえたん号が到着すると、商品を買い求める多くの住民らでにぎわった。

 同集落の浅見幸男区長(71)によると、同地区の住民は26世帯70人で、7割以上が65歳以上の高齢者。徒歩移動の場合、最寄りのコンビニエンスストアは約30分、スーパーは1時間近くかかる。浅見さんは「運転免許を返納した人や、足などに疾患を抱えている人が多いので、週1回でも来てくれると助かる」と話した。

 日用品をたくさん購入していた女性(76)は「薬局に通う手間が省けるのに加え、画面で直接薬剤師に相談できるのはありがたい。キャッシュレス決済の機能についてはなじみがわかないが、これから手順などを教わって、使いこなせるようにしたい」と笑顔を見せた。

 同町のうえたん号は現在、午前10時から午後4時まで運行し、町内全27行政区のうち25地区を巡回している。今後、利用状況や要望に応じて運行形態を変更していく予定。

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