埼玉新聞

 

歌手・庄野真代さん、上尾で講演 「専門家じゃなくても」「できること持ち寄れば」力強く社会貢献話る

  • 「今日感じたことを誰かに話したり、自分にできることを書いてみるのも一歩」と話す庄野真代さん=上尾市文化センター

 上尾市地域デビュー支援事業が、同市文化センターで行われ、シンガーソングライターで法政大学講師の庄野真代さんが「一人ひとりの社会貢献」をテーマに講演した。

 庄野さんは1976年に歌手デビュー。「飛んでイスタンブール」「モンテカルロで乾杯」などのヒット曲で、紅白歌合戦にも出場した。

 99年に自身の事故や病気での入院を機に「やってみたいこと、なりたいと思ったことを実現しよう」と奮起、翌年法政大学人間環境学部に入学。そして在学中にボランティア団体を立ち上げ、学生仲間と共に訪問コンサートを始める。その後ロンドン留学を経て早稲田大学院アジア太平洋研究科に進み、NPO法人国境なき楽団を設立した。

 「ロンドンでチャリティショップのアルバイトをしている時に自分の能力を生かしたボランティアをする人をたくさん見た。私にできることはやはり音楽だと思った」。庄野さんがチャリティコンサートをやりたいと言いだすと周りに協力する人が現れた。「一つのことをするのに専門家じゃなくても普通の人が集まればできる」と庄野さんは言う。

 NPOでは世界の子どもたちに楽器を送る活動も。古い楽器を集め、きれいに磨き、マレーシアやケニア、インドネシアなどの子どもたちに送った。「鳴らし方が分からなくても、音が出るだけで人は幸せな気持ちになるんですよ」

 東日本大震災の後からは日本の子どもたちの支援も行っていたが、楽器支援の団体が増えたこともあり、NPOを解散。現在は下北沢でコミュニティカフェと子ども食堂を開催、不登校や発達障害の子どもたちの居場所づくりをしている。

 庄野さんは「社会貢献とは自分の能力を伸ばす活動。自分の生きているフィールドと違うところで能力を発揮しようとしたら工夫をするしかない。一人一人のできることを持ち寄ったら、一人ではできなかったことができるようになる」と力強く話した。

 同事業では、市内で活動している30団体が、それぞれの活動を紹介。併せてパネル展も行われた。

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