埼玉新聞

 

<熊谷小4ひき逃げ>車2台関与の可能性、専門家が衣類鑑定 最初の車で男児転倒、2台目の車にひかれたか

  • 衣類の鑑定結果について説明する佐々木尋貴さん=6日、熊谷市の自宅

 熊谷市で2009年9月、小学4年の小関孝徳君=当時(10)=が死亡した未解決のひき逃げ事件で、遺族の依頼を受けて証拠品の鑑定を行っている専門家が6日、衣類の鑑定結果について遺族に報告し、事故に2台の車が関与している可能性があると説明した。

 元宮城県警の警察官で現在は仙台市で交通事故の調査会社を経営している佐々木尋貴さん(55)は「ズボンのお尻から大腿(だいたい)部にかけて何らかの痕跡が認められる」と指摘。孝徳君は左後方から車に追突されて転倒した後、2台目の車にひかれた可能性があるという。

 衣類の損傷程度からも複数の車の関与が推測された。

 「2台目の車の底の部分が孝徳君の体に当たった状態で進行し、その際に突起物が衣類を破くなどしたのではないか。着衣の痕跡から転倒させる原因を作った車がいたと考えても矛盾はない」とした。

 孝徳君の母親は先月、県警から返却された衣類の鑑定を佐々木さんに依頼。佐々木さんが仙台市の事務所に持ち帰り、赤外線カメラによる撮影などをして詳しく調べていた。今後はダミーの人形と車両を用いた実験を行い、検証を進めるという。

 母親は「最初の車が救護してくれていたら、死にはつながらなかったかもしれない。今回の衣類鑑定で事故の状況について新たな可能性が出てきたので、さらなる情報提供につながれば」と話した。

 事件は09年9月30日に発生。孝徳君は自転車で帰宅途中に事故に遭った。事件は未解決のまま16年に道交法違反(ひき逃げ)罪の公訴時効が成立し、自動車運転過失致死罪(当時)は今年9月30日に時効となる。

 母親はブログ(https://ameblo.jp/kosekitakanori/)で情報提供を呼び掛けている。

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