埼玉新聞

 

県内進路調査、私立高が人気 過去20年で最高に 一番の要因は大学入試改革、県の補助も追い風

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 県教育局は11日、3月に県内中学校(国公私立、特別支援学校中学部)を卒業予定の生徒6万4014人(前年比981人減)の進路希望状況調査(昨年12月15日現在)を発表した。県内公立高校全日制の希望者は4万4392人(前年比1187人減)で69・3%(同0・8ポイント減)となり、24年ぶりに7割を下回った。県内私立高校に通学する生徒の世帯の経済的負担を軽減する県の補助制度の浸透など、私立高校を選択しやすくなったことや多様な学校生活を送れる通信制高校を希望する生徒の増加などが、背景にあるとみられる。

 県内公立高校全日制の希望者が69・3%で24年ぶりに7割を下回る一方、県内私立は15・9%と過去20年で最も高い。大手学習塾「栄光ゼミナール」を運営する栄光の教務企画課・山中亨課長は「一番の要因は(2020年度の)大学入試改革」と指摘する。「経験したことのない入試を前に、将来を考えて現役での合格率が高い私立を選ぶ傾向にある」とみる。

 県が行う私立学校の父母負担軽減事業も追い風になっている。同事業は、県内の私立高校などに通学する生徒の経済的負担を軽減しようと、国の「就学支援金」に上乗せする形で入学金や授業料などの補助を行う。本年度からは私立高校生や大学生を3人以上抱える多子世帯について、年収約720万円未満世帯まで補助を拡大するなど、所得要件によっては授業料が実質無償化になる場合もある。

 1人当たりの予算額が大阪府、京都府に次いで全国3位(全日制高校の場合)と手厚いのが特徴。本年度は就学支援金と合わせ、最大で67万8千円(年額)が補助される。

 一方、県教育局は公立学校の各校の特色をホームページで紹介しているほか、統廃合を検討するなどしている。高校教育指導課は「各校で魅力づくりに取り組み、成果が出ている学校もある」と評する。

 山中課長は「4年後に受験生数が減り始め、公立と私立のどちらかが淘汰(とうた)されるだろう。その時までに、子どもが自分を表現できる場所や活気ある指導を見せられるかがポイント」と話す。

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