8年間で幼児3人死亡…「危険な用水路」安全対策に9906万円 加須、年度内に60カ所整備へ
加須市は、5月30日に男児=当時(4)=が用水路で死亡していたことを受け、用水路の安全対策強化を決めた。市内の用水路では8年間で幼児3人が死亡しており、市は新たな点検項目を入れ、本年度と来年度で112カ所で実施する。本年度は60カ所が対象で、9906万円を補正予算案に計上、9月定例議会に提案した。
市は事故直後の6月1日~17日に、市内全ての幹線水路と通学路沿いの水路を緊急点検。15センチ以上の隙間は危険とするなどの項目を加えた。点検カ所は498カ所に上り、うち112カ所で新たにフェンスやガードレール、パイプ、注意看板の設置などが必要と判断された。
5月に男児が亡くなっていた場所は、加須市礼羽の用水路で、上流にはフェンスのない場所もあった。用水路は幅約2メートルで、水深は当時1・5メートルあり、通学路に面している所もあった。
市内では2014年5月6日、加須市大越の用水路に当時2歳の男児が転落し亡くなった。用水路の幅は約1メートルで水深が80センチあり、フェンス下の隙間から入ったとみられている。翌15年8月24日には同市杓子木の用水路で当時1歳の男児が亡くなる事故も発生。用水路は幅1・2メートルで水深53センチあり、片側にフェンスはなかった。
市は14年にも用水路安全対策を行ったが、今回、緊急性が高い11カ所についてはフェンスを継ぎ足すなどの安全対策工事を実施した。
市治水課によると、14年の安全対策では不十分な点も今回出てきており、周囲の宅地化が進んでいることなどから、用水路の安全性を高めるという。
今後、転落防止のフェンスやガードレール、ガードパイプ、注意看板の設置などの工事を進める。現在設置されている注意看板はライオンの図案で「あぶない! 入ってはいけません」と注意を促しているが、市は新たな図案にすることも検討している。