涙が止まらず…バス3歳死亡1週間 園児らバスでクラクション練習「手で鳴らないなら水筒やお尻も使って」
静岡県牧之原市の幼稚園で、3歳の園児がバスに置き去りにされて死亡した事件の発生から1週間、同じような悲劇を防止するという思いから、武蔵野短期大学付属幼稚園(狭山市上広瀬)は12日、狭山署の協力を得て同園の年少組を対象に、バスに閉じ込められた時の対応訓練を実施した。
訓練に参加したのは園児42人とその保護者、園職員と狭山署員の約100人。園児と保護者らは安全に生活するために日頃から心がけることや「助けて!」と叫ぶことなどを同署員から学んだ後、園児がバスに閉じ込められた事態を想定し、実際に普段の通園で利用するバスを使って、園児らにクラクションを鳴らし助けを求めることを指導、体験させた。
訓練では、署員がクラクションの鳴らし方を園児らに説明。園職員が「大人が来るまで鳴らし続けて」「手で鳴らなかったら水筒やお尻も使って」などと声をかけ、園児は保護者らに見守られる中、バスの運転席でクラクションを鳴らす訓練を行った。
「(音に)びっくりした。怖かった」と話すのは、訓練に参加した園児(3)。園児の母(26)は「普段はクラクションを押さないように教えていた。家ではなかなかできない訓練なので、今後もぜひ取り組んでほしい。家でも今日のことを言い聞かせていく」と話した。静岡の事件を知ったときは、同じ年の子を持つ親として涙が止まらなかったという。
同じく訓練に参加した別の園児(3)によれば「(クラクションは)固くなかった」。園児たちの多くは、水筒などを使わず、手だけでクラクションを鳴らせている様子だった。園児の母(31)は「話を聞いてくれる子なので、一人で押せているのを見て一安心」と話し、「ないとは思う」としつつ「遊んで鳴らすことがないように注意したい」と語った。
同園の小島直子園長(42)は「今はこういうこと(バス車内放置)だけではなく、迷子や不審者などの危険もある。園児たちには『助けて』が叫べる人になってほしい。守られて生活しているからこそ、対応力を身に付けてほしい」と、SOSを出せる環境づくりに意欲を見せた。
同署の神永修一地域課長によると、今回の訓練は同園からの要望により実現。「今後、各幼稚園などでも自主的に同様の訓練をしていただければ」と呼びかけた。