死んでくれる人、一緒に…SNS投稿に多くの返信も 絶対に会ってはいけない世界 泊める人、迫る強制性交
交流サイト(SNS)を介した犯罪に巻き込まれる若者が後を絶たない。性被害のほか命に関わる重大事案に発展するケースもある。今年10月には女子中学生の自殺をほう助したとして、神奈川県警がさいたま市緑区の男を逮捕。今月には、名古屋市のホテルで大学生女性を殺害したとして、SNSで知り合ったとされる男女3人が愛知県警に逮捕された。県警は高校や大学などに出向き、生徒らにSNSの危険性を伝え、「自分の身は自分で守ってほしい」と訴えている。
県警少年捜査課によると、1~11月に認知された福祉犯事件で18歳以下の被害者は268人。全体の約4割を占める113人(前年比42人減)はSNSを起因とし、うち80人は犯人と実際に接触し、みだらな行為をさせられたり、買春行為を迫られるなどの性被害が大半を占める。
該当犯罪別では、県青少年健全育成条例違反が32人、児童買春・ポルノ禁止法違反が62人、児童福祉法違反が1人。SNSを起因とする刑法犯の被害児童数は18人で、内訳は強制性交が6人、強制わいせつが2人、略取誘拐が10人となっている。
被害を未然に防ごうと、県警サイバー犯罪対策課は高校や大学、専門学校に出向き、SNS利用に関する講義を実施。依頼を受け、1カ月に数回の講演で注意点や危険性を訴えている。
サイバー犯罪対策課が11月17日に県立坂戸西高校で実施した講義では、写真投稿やメッセージのやりとりなどに潜む危険性を伝え、SNSで知り合った人と実際に会って犯罪被害に巻き込まれるケースなども紹介。「SNSでは成り済ましが簡単にできる」と説明し、もしも被害に遭った際は「一人で抱え込まずに誰かに相談してほしい」と呼びかけた。
SNSは便利で楽しいツールである一方、多くの危険が潜んでいる。講義では学生らに「絶対に会いに行くことはやめてほしい」と強調。「ネットだけでは相手の本当の姿は分からない。物事を判断する力を身に付けてほしい」と自分の身は自分で守ることが大切だと訴えた。
講義を受けた1年の丸山晄希さん(16)は「気を引き締めて、危ないことに巻き込まれないようにしたい」。二村美南さん(16)は「会おうと言われたら何されるか分からない。ネット上の友達に会ったり、成り済ましされたりするのは怖いと思った」と感想を話した。
■被害誘引する投稿も
「泊めてくれる家探しています」「一緒に死んでくれる人いませんか」。交流サイト(SNS)内では、犯罪を誘発する恐れのある投稿も散見される。それらに返信する成人とみられるアカウントも多い。
被害者側が初めに投稿したことで、犯罪に巻き込まれるケースも多く、県警サイバー犯罪対策課は「被害を誘引するような書き込みはしないでほしい」と呼びかける。
県警少年課は、短文投稿サイト「ツイッター」で犯罪被害につながる恐れのある不適切な投稿などに、同課の公式アカウントを用いて注意を呼びかけている。家出や宿泊提供に関する投稿に対し、返信をして投稿者に直接警告しているという。
同課少年サポートセンターの原口弘樹所長は、SNSを利用する子どもたちに「安全な使い方を心がけてほしい」と呼びかけ、保護者にも「子どもたちが安全にインターネットを利用できるよう家庭で見守ってほしい」と協力を求めた。