埼玉新聞

 

腫瘍内科外来、行田総合病院で新設 がん薬物専門医が治療 全国でも比較的新しい診療科

  • 腫瘍内科外来を担当しているがん薬物療法専門医の福元剛医師=行田市の行田総合病院

 行田総合病院(行田市)は全国でも比較的新しい診療科といわれている「腫瘍内科外来」を新設した。抗がん剤治療に対して、専門的な知識と技術を持つがん薬物療法専門医が抗がん剤により治療する診療科。県がん診療指定病院として、さまざまながんに対する専門的な治療ができる体制を整えることで、より良い地域医療づくりに貢献していきたいとしている。

 国内では現在、胃がんや大腸がんは消化器の専門医、肺がんは呼吸器の専門医というように、がんの抗がん剤治療はそれぞれの専門医が対応しているのが多い。各臓器の専門医が手術や抗がん剤治療を一貫して手掛けることで、迅速に対応できるなどのメリットがある。

 一方で、抗がん剤治療は日々進歩し複雑化している。腫瘍内科外来を担当するがん薬物療法専門医の福元剛医師は、「これまでのように手術も抗がん剤治療も一つの診療科で行うことが難しくなってきている」という。

 2005年に「がん対策基本法」が施行。国もがん治療の整備を進めており、その一環としてがん薬物療法専門医を養成している。ただ、がん薬物療法専門医の半数以上が大学病院やがんセンターなどの病院に集まっており、地域の病院には少ないのが現状という。がん薬物療法専門医となるのも難関で専門医自体も少ない。

 福元医師はこれまで消化器外科専門医として胃がんや大腸がん、食道がんなどの消化器がんと乳がん、甲状腺がんを診察。全国でも少ないという消化器外科専門医とがん薬物療法専門医の二つの専門医となった福元医師は、「可能な限り多くのがんの抗がん剤治療を腫瘍内科外来で行い、地域の皆さまの役に立てるよう全力で取り組みたい」などと話している。

 同病院は1988年12月に開院した。地域の中核病院。病床数は504床(4月末現在)。消化器外科の手術件数は年間500例を超える。がん診療だけでなく、地域医療支援や災害拠点、救急搬送困難事案受け入れなどの指定病院でもある。腫瘍内科外来は毎週月曜日の午前に診察している。

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