埼玉新聞

 

祈りと「身代わり」天焦がす 数百年続く伝統の火祭り 小鹿野「ドウロク神焼き」 炎でお守り作りも

  • 正月飾りで作った小屋を燃やし、火難よけを祈願する橋詰地区の住民ら=21日午後5時ごろ、小鹿野町河原沢

    正月飾りで作った小屋を燃やし、火難よけを祈願する橋詰地区の住民ら=21日午後5時ごろ、小鹿野町河原沢

  • 正月飾りで作った小屋を燃やし、火難よけを祈願する橋詰地区の住民ら=21日午後5時ごろ、小鹿野町河原沢

 小鹿野町河原沢の橋詰地区の河原で21日、火祭り行事「橋詰のドウロク神焼き」(県指定無形民俗文化財)が行われ、地域住民が正月飾りで作った小屋を燃やし、火難よけを祈願した。家々の身代わりとして小屋を焼くことで1年間、地域の火事を防ぐ御利益があるとされている。

 ドウロク神焼きは、川原にヒノキや竹を組み、高さ約8メートルの三角すいの小屋を作る。松飾りやだるまなどと共に、近所のドウロク神峠に祭られている二つの自然石(御神体)を小屋の中に納め、一緒に燃やす。焼かれた御神体は翌朝に取り出して、ドウロク神峠に再び安置する。

 午後5時ごろに点火が始まると、炎は瞬く間に小屋の倍近くまで立ち上り、「パンパン」と大きな音が谷に響き渡った。火の勢いが弱まると、住民らはオッカド(ヌルデ)の木で作った脇差しを火の中で焦がした。脇差しは家に持ち帰り、魔よけや盗難よけとして玄関に飾る。

 保存会会長の黒沢孝二さん(69)は「13戸しかない地区だが、数百年と続く伝統を毎年絶やさず行っている。なんてことのない小規模な祭りを維持していくことは大変だが、みんなで守っていく」と話していた。

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