埼玉移住、一番人気は? サポートセンター設置の小川町がリード 2021年度の相談は全県で3035件
新型コロナウイルスの感染拡大に伴うテレワークの推進などを契機に、地方移住に関心が高まっている。2021年度の県内への移住相談件数は3035件で、前年より438件増加したことが総務省の調査で分かった。一方、全国の相談件数で見るとワースト7位。首都圏7都府県では東京都に次いで2番目に低いなど、後れを取る状況で、県もさらなるPRに力を入れている。
総務省によると、21年度の全国の相談件数は32万3931件で最多を更新した。全国で件数が最も多かったのは長野県で1万7443件。首都圏は群馬県5681件、栃木県5388件、千葉県5197件、神奈川県4197件、茨城県3386件、東京都1794件だった。
県内では15年度の225件から16年度に2113件と大幅に増加。19年度に最多の3297件になった。21年度は3035件で、移住相談窓口での相談受け付けが2566件、イベントでの相談が469件。全国と同様に増加傾向にはあるものの、他都道府県と比較すると少なく、大幅な増加とはならなかった。
県南などの都市部では相談窓口や担当の課がなく、件数をカウントしていないケースもあるという。市町村別の最多は小川町の948件。秩父市の456件、飯能市の359件(オンラインの重複を除き344件)が続いた。いずれも20年の国勢調査で人口増減率がマイナスで、移住促進に積極的に取り組む地域。小川町では駅前に観光案内所と併設するサポートセンターを設置し、観光から気軽に移住相談をできる体制を整えている。同町によると、21年度は37組68人の移住につながった。
22年7月に内閣府が公表した調査によると、東京圏在住で地方移住に関心がある人の懸念では「仕事や収入」が50・2%、「人間関係や地域コミュニティ」が26・9%、「買い物や公共交通の利便性」が24・0%だった。県地域政策課は「埼玉は自然も豊かで都心から近く、買い物などの利便性も高い。移住先に最適な条件がそろっている」と強調する。
県は昨年から、都内在住者をターゲットに銀座でイベントを実施。地方移住先でコミュニケーションなどに悩むミスマッチの解消のため、先輩移住者と話ができるようにしている。担当者は「立ち寄る人も多く、関心が高いと実感している。Uターンを視野に入れている人もいる」と語り、「埼玉は都内から近く、移住先に何度も足を運んで確認できる。移住はすぐに成果がでないので、少しずつ埼玉を移住先として浸透させていきたい」としている。
■2021年度の移住相談件数上位
順位 自治体 件数
1 小川町 948
2 秩父市 456
3 飯能市 359(344)
4 小鹿野町 173
5 越生町 84
※かっこ内はオンラインの重複を除いた数