埼玉県にはなぜない?パートナー制度導入求め要望書 知事「宣言導入しても実質的には…」 すでに対応も
性的少数者などLGBTQのカップルを公的に認めるパートナーシップ制度について、県単位の導入を求める署名活動を行っていた竹乃娘(たけのこ)さんが今月、大野元裕知事宛てに要望書を提出した。署名はネット上で6395筆(15日時点)が集まったほか、県内自治体ではすでに41市町が制度を開始するなど、理解が広がっている。
竹乃娘さんはトランスジェンダー男性のパートナーと2017年ごろから埼玉県内で暮らしている。自身が緊急搬送された際にパートナーが家族と認められなかった経験があり、市町村をまたいだ県の制度導入の必要性を訴えている。署名は22年7月から交流サイト(SNS)や署名サイトで、多くの賛同を得た。竹乃娘さんは「当事者やパートナーが、2人一緒にいてもいいと認めてもらえたという気持ちの面がとにかく大事。安心して暮らしていけるよう、意見をくみ取ってほしい」と訴えた。
要望書では22年7月に施行された「県性の多様性を尊重した社会づくり条例」を踏まえ、市町村ごとに導入、未導入の不平等な現状があると指摘。医療現場で同性パートナーも家族として扱われる環境整備などのため、パートナーシップ制度と、同居する子どもも公的に認める「ファミリーシップ制度」の早急な導入、施行を求めた。
条例は「性の多様性を尊重した社会づくりに関する施策を総合的かつ計画的に実施する」ことを県の責務としている。
県内市町村での導入は広がりを見せ、現時点で41市町が制度を開始し、5市町が23年3~4月に開始する予定。また、13市町が導入を検討中、1市が研究中とし、23年度中の開始を目指す自治体も多い。導入予定がないのは3市村だった。
県は今年1月から県営住宅の入居資格を緩和し、同性パートナーの事実婚を加えた。また、相談体制を整備し、電話や無料通信アプリ「LINE(ライン)」で悩みを話せる「にじいろ県民相談」を設置するなど、取り組みを進めている。
大野知事は17日の定例会見で「市町村と違い、県では宣言を導入しても実質的に変わるものはない。実際に求められる制度を構築することが実効的」と話した。