埼玉新聞

 

5万円支給、さいたま市が第3子以降に 母ら「良い」「金ではない」 月5千円の東京にいた母が戻らぬ理由

  • 出生数1万人割れ、第3子以降に5万円 当初予算案に盛り込む=さいたま市

 さいたま市は2023年度一般会計当初予算案に、多子世帯子育て応援金給付事業費6770万円を盛り込んだ。市の独自事業で第3子以降に5万円を支給する。24年度以降も予算案に盛り込み、恒常的な支給を検討している。市によると、市内の出生数は減少傾向が続き、21年は9720人で、1万人を割り込んだ。市は少子化対策の一環として、5万円の応援給付金により、第3子以降を考えている家庭を経済的に後押ししていきたいとしている。

■子育て中の母親ら「後押しに」「保育料下げて」

 さいたま市は少子化対策の一環として、第3子以降に5万円を支給する方針を示した。子育てをしている市内の母親らは取材に、「3人目を考えている人への後押しになる」と評価する一方で、「産後の支援をもっと充実させてほしい」「保育料を下げてほしい」と訴える声が出ていた。

 3歳と1歳の女の子を育てている女性(32)は、子育てのストレスが大きいとして、「産後の支援をもっと充実させてほしい。お金ではないと思う」と人的支援を求めた。子育て支援の訪問事業は制度化されているものの、「助産師さん、保健師さんはとても頼りになる存在。訪問回数をもっと増やしてほしい」。自身は身体的な負担から、第3子以降を考えていない。「産後は申請する体力がない。申請しなくても向こうから来る支援がほしい」

 3歳の女の子と0歳の男の子を育てる女性(27)は「3人目は考えていない」という。東京都は18歳以下の子どもに、所得制限なく月5千円を支給する方針。「月に5千円は大きいが、それでも経済的に考えると難しい。3年以上空いてから、3人目を考えるかもしれない」と話した。

 4歳の男の子を育てる女性(40)は「3人目を予定している人にとって、後押しになると思う」と評価した。2年前、東京都内から浦和区に引っ越してきた。夫の勤務先が都内で、千葉県流山市などを見て回り、教育環境などを考慮して決めたという。東京都の月5千円支給に触れ、「いいなと思うけど、家賃などを考えると、それだけで東京に戻ろうとは思わない。手厚い支援があれば、さいたま市を選ぶ人がもっと増えるのではないか」と語った。

 1歳の女の子を育てる女性(33)は、2人目以降を考えていない。「第3子の前に、第1子の保育料をもっと下げてほしい。お金がかかるので、1人に集中したい。将来的なことを考えると、出産時よりは成長した後の教育費を支援してほしい。1回の5万円では足りない」と話していた。

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