埼玉新聞

 

1人に「最大1万円相当」を現物給付、子育て支援に重点 日本一暮らしやすい埼玉へ加速、県予算案は

  • 県の2023年度当初予算案について説明する大野元裕知事=13日午後、県庁

    県の2023年度当初予算案について説明する大野元裕知事=13日午後、県庁

  • 県の2023年度当初予算案について説明する大野元裕知事=13日午後、県庁

 県は13日、2023年度当初予算案を発表した。一般会計総額は前年度比0・8%減の2兆2110億9500万円で、3年連続の2兆円超え、22年度に続く、過去2番目の規模となった。大野元裕知事は同日の会見で「『ポストコロナ元年~持続可能な発展に向けて』をキャッチフレーズに、社会課題の解決と経済の両立、新型コロナウイルス感染症の拡大防止、『日本一暮らしやすい埼玉』実現への加速を最優先に取り組む」と編成方針を述べた。

■歳入

 歳入の柱となる県税収入は雇用・所得環境の改善を反映して増収を見込み、本年度比1・6%(130億円)増の8148億円。法人二税(法人事業税、法人県民税)は円安基調の鈍化や、資源高などの影響により対前年度増減率は鈍化するものの、製造業を中心に企業業績の回復が見込まれることから増収を見込む。地方交付税は同2・2%(55億円)減の2437億円、国庫支出金は新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の減少を見込み同15・0%(527億円)減の2978億円を計上した。

 県債発行額は同0・3%(6億円)増の2007億円。防災・減災など緊急性、必要性の高い事業の財源として活用する。23年度末の残高は前年同期比1・5%(554億円)減の3兆7278億円で3年連続で減少する見通し。県民1人当たりの「借金」に換算すると前年度から約8千円減の約50万4千円となる。

■歳出

 歳出を性質別でみると、義務的経費のうち、全体の約4分の1を占める給与費が前年度比2・4%(135億円)減の5540億円。扶助費は新型コロナ関連の公費負担増などを見込み同5・0%(71億円)増の1487億円を計上、公債費は県債の償還金増を見込み同1・0%(28億円)増の2833億円を計上した。

 投資的経費は高齢者講習施設整備や公共施設の長寿命化改修などで同5・0%(91億円)増の1913億円で、過去10年で最大となる。公共事業費は水災害リスクに備える流域治水対策や、歩行者安全確保のための道路環境の整備など2年連続で1千億円超の1011億円を計上する。

■重点事業

 23年度当初予算は5月に予定される、新型コロナの感染症法上の位置付け見直しなど国の方針を踏まえ、感染症対策に引き続き取り組みつつ、県の持続的な発展を目指す。

 子育てに希望が持てる社会の実現へ、子育て支援の充実、少子化対策の推進、児童虐待防止対策の強化を進める。災害・危機に強い埼玉の構築に向け、危機管理・防災対策の再構築、防災関連公共事業を進める。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)推進による生産性向上へ、行政手続き、県内中小企業のDXをさらに推進。介護・医療体制の充実へ、人材確保や定着対策を行い、Tele―ICUにより重症患者への医療提供体制の充実を図る。埼玉版スーパー・シティプロジェクトは市町村と企業のマッチング強化や財政支援の拡充を通じ、これを後押しする。

■子育て支援 4万5千人に現物給付

 子育て支援として2023年4月から24年3月までに出産した世帯を対象に、子ども1人当たり最大1万円相当のギフトボックスを現物給付する。子ども4万5千人分を計上し、現時点で39市町村が参加を表明している。

 児童虐待防止対策強化のため、25年度に朝霞市内に新設する県内8カ所目の児童相談所の建設に着手する。一時保護所を併設し、個室の居室を整備。管轄は朝霞、志木市など6市町になる。所沢、川越児童相談所で各110万人の管轄人口を分け、3カ所で各70万人に平準化する。

 子どもの居場所づくり支援では、24年度までの「県子育て応援行動計画」の改訂に向け、子どもの貧困について実態調査を実施する。小学5年生、中学2年生各千人の子どもとその保護者を対象に、経済状況や生活習慣、孤立状況などのアンケートを行い、実効性の高い計画策定を目指す。

 ひとり親家庭の支援では教育費の不払い解消のため、別居親と子どもの面会交流を支援する。公正証書などで養育費支払いに面会が取り決められているが、親同士のコミュニケーションが困難である場合、子どもの受け渡しや面会の立ち合いを援助する。

 保育人材不足の解消のため、保育士への奨学金返済を支援する市町村に、年額上限9万円を補助する。対象は県内の保育所や認定こども園などで新たに勤務する新卒保育士や潜在保育士。最長5年間で、450人分を計上した。

 昼間に保護者がいない小学生の居場所である「放課後児童クラブ」支援員の不足では、保育士養成校へアプローチを進める。PRリーフレット配布や現場体験の受け入れを支援し、保育士免許を持つ学生の取り込みを目指す。

※23年度県予算案のその他の主な内容「医療・福祉」「新型コロナ」「教育」「スポーツ・文化」「経済振興」などは2月14日掲載の埼玉新聞で詳細が読めます。

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