ハンズ「新店」オープン!東日本で初、どうなる埼玉の激戦区 百貨店の閉店相次ぐも秘策が 初日に客大勢
熊谷市仲町の八木橋百貨店3階で15日、生活雑貨のハンズ(東京都)のプロデュース店舗「Plugs Market(プラグスマーケット)」がオープンした。ハンズの強みの生活洋品や地元産品の品ぞろえを推進。衣料品や化粧品が主体だった従来の百貨店ビジネスからの転換を図りつつ、地域密着型の店舗運営を進め、他の商業施設との違いを打ち出す。
プラグスマーケットは大手百貨店で運営実績があり、東日本では初の出店で、フランチャイズ形式で運営。店舗面積は約1400平方メートルで、婦人服の売り場だった3階の約半分を改装した。ハンズの約2万点の雑貨や生活用品を扱うほか、27日までは熊谷の若手農業集団が弁当やドレッシングを販売するなど、2週間程度で交代しながら地元産の逸品の販売にも注力する。
八木橋の商圏である県北部は人口減少が進む。加えて郊外型ショッピングモールや大手アパレルチェーンの出店攻勢で百貨店の柱でもある衣料品分野の競争が激化。ネット通販の普及、新型コロナ禍の影響で売り上げが伸び悩む。従来にはない店舗運営で客層を広げる必要性に迫られ、地域住民の生活に密着した店舗への転換を図った。
2社は市と「産業振興及び地域の活性化に関する協定」も締結。ハンズの桜井悟社長は「ハンズの仕入れ力と開発力を生かした商品を2万点そろえた。この店で初めて知る地域商材も多く出したい。協働して地域を盛り上げる」、小林哲也市長も「地元特産品をアピールする場になる。郊外から再び街中にも目を向けてもらいたい」と語った。
県内では近年、百貨店の閉店が相次ぐ。矢尾百貨店皆野店は2017年8月末で137年の歴史に幕を下ろした。21年2月には丸広百貨店日高店、そごう川口店が閉店。丸広は昨年8月21日で坂戸店の営業も終えた。大手百貨店の大丸や松坂屋を運営するJ・フロントリテイリングも新所沢パルコを24年2月末に閉店すると発表している。
プラグスマーケットオープン初日は幅広い年代の客層が来店し、にぎわいを見せた。市内から訪れた50代女性は「思ったより売り場が広く、品数も充実していた。地元農家の野菜を買った」と語った。市内の20代女性も「目当ての商品を狙ってきて、買えて良かった」と満足そうだった。
八木橋の八木橋宏貴社長は「百貨店業界は大きな転換期を迎えているが、より多くのお客さまに足を向けてもらうきっかけになれば」と話した。