埼玉新聞

 

ブームの猫880万匹超が飼育、犬は700万匹超…殺処分2万5千匹、8割が子猫「きょうだい死んでいく」

  • 人気を集める前玉神社の猫「きなこDX」=21日午前、行田市埼玉の前玉神社

    人気を集める前玉神社の猫「きなこDX」=21日午前、行田市埼玉の前玉神社

  • 子どもたちに動物の命の大切さを説明するCOCOレンジャーの重竹淳一代表(左)=昨年12月14日、熊谷市立妻沼南小学校

    子どもたちに動物の命の大切さを説明するCOCOレンジャーの重竹淳一代表(左)=昨年12月14日、熊谷市立妻沼南小学校

  • 人気を集める前玉神社の猫「きなこDX」=21日午前、行田市埼玉の前玉神社
  • 子どもたちに動物の命の大切さを説明するCOCOレンジャーの重竹淳一代表(左)=昨年12月14日、熊谷市立妻沼南小学校

 近年は新型コロナウイルスの影響で在宅での時間が増えたり、「猫ブーム」が続いていることもあり、猫を飼う人は多い。一方で、多くの子猫が殺処分されている現状もあり、動物福祉団体は啓発活動を実施している。

 埼玉県行田市埼玉の前玉神社。猫がいる神社として知られ、猫を目当てに訪れる参拝客が多い。さいたま市から訪れ、猫の写真をスマートフォンで撮影していた菊地智子さん(43)は「自分も猫を飼っているけど、すごくかわいかった」と語った。同神社の田島和文宮司(56)も「猫に癒やされるという参拝客は多い」と話す。

 ペットフード協会(東京都)によると、猫の飼育数は2014年に犬と逆転し、22年の推計飼育数は猫が883万7千匹で、犬は705万3千匹。一方で、21年度には約2万5千匹の犬猫が殺処分され、そのうち約8割が子猫という現状もある。

 地域猫対策を進めている熊谷市の動物福祉団体「COCOレンジャー」は「殺させる命を産ませない」をスローガンに活動している。不幸な野良猫が増えないよう捕まえて不妊手術を施し、元の生活していた場所に戻して地域で見守る活動「TNR」(トラップ、ニューター、リターン)を推進。啓発活動で出前授業も実施している。

 昨年12月14日には市立妻沼南小学校で出前授業を実施。行き場のない多くの犬猫が殺処分されている現状などについて説明した。ペットの迷子に備えて住所や連絡先を記入した迷子札を付けることや、動物を飼う際は最後まで責任を持つことなどを強調した。

 授業の最後には引き取られた捨て猫が題材の動画を鑑賞。寒さと空腹できょうだいが死んでいく中、幸せを求めて譲渡会で飼い主を待つ内容で、子どもたちは真剣な様子で鑑賞していた。

 団体の重竹淳一代表(67)は「家にいる時間が増え、一時的にかわいいからと、安易に動物を飼ってしまう現状がある」と指摘。動物はペットショップだけでなく、ホームセンターでも販売されている。重竹代表は「動物を飼う際は、生涯にわたって家族と暮らす覚悟が必要なことを知ってもらえれば」と話していた。

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