校庭を住宅用地に 小鹿野で22年ぶり宅地分譲、整備事業費を計上 旧長若中学校、若者世代がターゲット
小鹿野町の森真太郎町長は3日の定例記者会見で、2016年に統廃合となった旧町立長若(ながわか)中学校の校庭(約1万平方メートル)を住宅用地に開発する新たな移住・定住施策を発表した。同地での宅地分譲や賃貸住宅建設を検討するための整備事業費1030万円を2023年度一般会計当初予算案に盛り込み、7日開会の町議会3月定例会で提案する。
旧長若中は1988年に建築され、現在も残る町内の廃校中学3校の中で最も新しい公共地。同校の校舎は昨年から中古パソコンのリユース会社「リングロー」(東京都豊島区)に貸し出し、パソコン教室など、地域交流の場を創出する「長若集学校」として活用されている。
同町の2月時点の人口は1万591人で、旧両神村と合併した2005年度と比較すると4千人以上減少している。町によると、若い世代の転出や少子高齢化の進行が大きく影響しているという。
05年以降、町は定住促進奨励金やマイホーム取得奨励金、民間賃貸住宅家賃助成金など、「移住・定住したくなる」まちづくりを進めているが、人口減少抑制には大きく結びついていない。同町での宅地分譲は、01年の伊豆沢地内諏訪平もみじ団地の契約を最後に実施していない。
今回の施策は、公共用地に生活の拠点となる新たな住宅用地を設けて若者世代が同町に転入、あるいは転出せずに生活できる環境を創出することが狙い。旧長若中がある同町般若は、秩父市街地などへのアクセスが良く、地場産業の振興やビジネスチャンス創出も期待できる。
町は今後、同校の公共用地を活用した宅地分譲開発や、民間企業と連携した賃貸住宅建設を検討するための設計費を予算化し、主に若者世代をターゲットにした住宅政策を展開していく。
森町長は「町には町営住宅がいくつかあるが、入居条件が複雑など、若者の暮らしにそぐわない点が多い。今後、旧長若中の校庭地を柱に、移住・定住者らが快適に住める宅地事業を進めていきたい」と語った。