埼玉新聞

 

弟亡くした小3少女がチャリティー活動 「小児がん支援にご協力を」保育園のバザーでレモネードスタンド

  • 保育園のバザーでレモネードを販売する谷川ほずみさん=6月29日、川口市のあいう園

  • 掲示物を準備する谷川ほずみさん=6月上旬、さいたま市内の自宅

 小児がんの啓発や治療研究への支援を目的としたチャリティー活動「レモネードスタンド」を行う少女がいる。幼い弟を急性骨髄性白血病で亡くした経験を乗り越え、「多くの患者さんがいること、治る人もたくさんいることを伝えたい」と始めた活動は今年で3年目を迎える。

 「小児がん支援にご協力をお願いします」。6月下旬、川口市の保育園で開かれたバザーで声を張り上げる少女の姿があった。レモネードが入ったカップをお盆いっぱいに載せ、多くの人を呼び込むのはさいたま市の小学3年谷川ほずみさん(8)。「みぃみのレモネードスタンド」と書かれたエプロンを身に着けて呼び掛ける傍らには、ほずみさんがこの日のために準備した「急性骨髄性白血病とは」などと手書きでまとめた模造紙が掲示されていた。

 レモネードスタンドとは、米国で小児がんと闘う少女が同じ病気で苦しむ子どもたちを助けようと、自宅の庭でレモネードを販売して寄付を募ったことが始まりで、以後、チャリティー活動として広まった。

 ほずみさんが活動を始めたのは、弟の瑞騎(みずき)君=当時(3)=が亡くなってから約半年後の2017年夏。瑞騎君は16年に急性骨髄性白血病と診断され、約9カ月後に亡くなった。母真理子さんは「将来何になりたいかを聞くと『ねえね』と答えるほど、お姉ちゃんのことが大好きな弟だった」と振り返る。

 瑞騎君の死後、ほずみさんが思い出したのは通っていた英語教室でレモネードスタンドについて教わったこと。「病気のことを伝えることで命が一つでも助かれば」―。そんな思いで活動を始め、瑞騎君の愛称「みぃみ」から、活動を「みぃみのレモネードスタンド」と名付けた。

 最近では、イベントの開催を伝えるチラシを自分で作るなど、より積極的に取り組むようになった。真理子さんは「『自分でやりたい』と娘が主体的に進める中で、分からないことやできないことはサポートしたい」とそばで見守り、時には他の団体が行うレモネードスタンドにも親子で足を運ぶ。

 命の尊さを人一倍感じているほずみさん。小学1年の時には全校集会で病気や命の大切さを伝える作文を発表した。「がんがどんな病気なのか多くの人に知ってほしい」という気持ちは今も変わらない。

 「病気が治って楽しい普通の生活を送れる人が増えれば。がんが治る病気になってほしい」と優しい笑顔で語った。

 次回の開催は7月27日午後5時半~同8時20分、あいう園美園▽9月7日午前10時~午後2時、あいう園ひふみ放課後児童クラブ(いずれもさいたま市緑区美園)。

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