埼玉新聞

 

埼玉唯一!高倍率49倍超、宮内庁の企画人気 「埼玉鴨場」で人々驚き、近隣住民もなかなか入れない世界

  • 引堀の様子を見学する参加者=7日午前、越谷市大林の埼玉鴨場

    引堀の様子を見学する参加者=7日午前、越谷市大林の埼玉鴨場

  • 引堀の様子を見学する参加者=7日午前、越谷市大林の埼玉鴨場

 県内唯一の皇族関連施設となる越谷市大林の宮内庁「埼玉鴨場(かもば)」で7日、県主催の見学会が実施された。新型コロナウイルスの落ち着きを受けて3年ぶりの開催。抽選で選ばれた県民は、普段一般公開されていない場内を見て回った。

 埼玉鴨場は11月中旬から2月中旬ごろのカモの狩猟期にカモ狩り場として、皇室が賓客の接待で使用する。宮内庁によると、場内には約1万2千平方メートルの池「元溜(もとだまり)」があり、越冬のため、毎年1万羽超のカモ類が飛来する。

 その元溜を取り囲むように17本の水路「引堀(ひきぼり)」が整備。訓練されたアヒルを使って野生のカモを、その水路におびき寄せ、竹と絹糸で作られた「叉手網(さであみ)」で、カモが飛び立つ瞬間に捕獲する。警戒心の強いカモの習性を考えた伝統の狩猟方法とされる。

 見学会は午前と午後の2回実施。各回15人定員で県が2月に募集した。計1491人から応募があり、当選倍率は49・7倍。この日は午前と午後で計24人が集まった。

 参加者は正面門に集合後、宮内庁職員の説明を受けながら、鴨場に関する映像を観賞。その後は実際の狩猟場となる引堀に移動し、カモから死角となるよう工夫された引堀の構造や、カモが集まる様子を確認する小窓「小覗(このぞき)」などを見学した。職員が引堀へアヒルを誘導する実演もあり、参加者は熱心に写真撮影していた。

 何回か応募し、今回初当選したという越谷市大房の植田孝子さん(68)は「近くに住んでいるが、なかなか入れない場所。場内が広くて驚いた。アヒルを誘導する様子も見学でき、とても貴重な体験だった」と約1時間の見学を振り返り、充実した様子だった。

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