埼玉新聞

 

大問題…6倍に巨大化した“土砂の山”恐怖、近隣住民「いつか大事故が」 厳しい指導しても効果ない業者

  • 山のように土砂が堆積し、地域住民は不安を募らせている=熊谷市塩

    山のように土砂が堆積し、地域住民は不安を募らせている=熊谷市塩

  • 山のように土砂が堆積し、地域住民は不安を募らせている=熊谷市塩

 埼玉県熊谷市塩で土砂が山のように堆積し、大きな問題になっている。当初の計画の約6倍に及ぶ土砂が堆積。市も条例違反として県内にある業者に指導を行っているが、効果的な対策はできていない。現場付近に住む住民は「このままでは熱海で起きた土砂災害のような、大きな事故が発生してしまうのでは」と不安を募らせている。

 市によると、500平方メートル以上3千平方メートル未満の規模で土砂などの堆積を行う場合、条例に基づき市の許可が必要。3千平方メートル以上の土砂の堆積を行う場合には県の条例に基づき県の許可が必要となる。

 市に許可された計画では、堆積面積は1562平方メートル、最大堆積時の土砂量は3千立方メートル、完了時の高さは2メートル。堆積目的は資材置き場で、堆積期間は2020年11月16日から22年11月15日まで。土砂の採取場所は東京都調布市で、関越自動車道を通り堆積地に入る経路だった。災害、事故の発生防止措置については「安全措置を講じ現場指導をする」と記載されていた。

 しかし、市などによると22年11月16日時点では、面積は約4千平方メートル、堆積土砂量は約1万8千立方メートル、高さは約11メートルに及ぶ。許容範囲を大きく上回る堆積状況となり、市は文書や電話、面談などの指導を実施。1日2回のパトロールも行い、現場作業員に対して口頭による指導を行っている。厳しく指導した後には一時的に改善したりもするが、抜本的な改善には至っていないという。

 21年7月に静岡県熱海市で大規模な土砂災害が発生したが、県内でも同様のケースがある。20年7月、秩父市田村で無許可に堆積された土砂が崩落して蒔田川に流入。県は流れた土砂の撤去を業者に求めたが、応じなかったことから、行政代執行による土砂の撤去を行い、約1億5千万円の費用をかけて土砂を撤去した。その後、県警によって業者の関係者は逮捕された。

 他県でも同様の問題で業者が逮捕されたケースがあるが、土砂の堆積はそのままで、問題の解決には至らない場合もあるという。現場付近に住む住民たちは不安な日々を過ごしている。堆積期間終了後も土砂の搬入を目撃したという住民は「大きな土砂災害が発生してしまう前に、できるだけ早く元の状態に戻してほしい」と話していた。
 

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