埼玉新聞

 

見物客を魅了、美里で国無形文化財の盆祭り行事「猪俣の百八燈」 暗闇に一列の灯火、最高潮を迎える

  • 百八の塚に火がともされる猪俣の百八燈=15日夜、美里町の堂前山

 400年以上続くと伝えられる美里町猪俣地区の盆祭り行事「猪俣の百八燈」(国指定重要無形民俗文化財)が15日夜、堂前山と周辺で行われた。百八つの塚に火がともると暗闇に一列の灯火が浮かび上がり、見物人は幻想的な光景に魅了された。

 猪俣地区は平安時代末期から鎌倉時代にかけて武蔵国で勢力を誇った武蔵七党の一つ猪俣党の棟りょう猪俣小平六範綱ゆかりの地。百八燈は小平六とその一族の霊を慰めるために始まったとされる。

 同地区の6歳から18歳までの青少年が行事の一切を仕切り、準備を進め、大人が介入しないのが特徴となっている。

 午後6時ごろ、猪俣党の菩提(ぼだい)寺の高台院から力強い寄席太鼓が鳴り響くと関係者が集合。空が暗闇に変わる頃、伝統行事の本番が始まった。猪俣氏の霊に拝礼し、笛や太鼓に先導されてちょうちん行列が塚のある堂前山へ向かった。

 塚一つ一つに火をともすと、灯火が尾根に沿って燃え上がり、行事は最高潮を迎えた。

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