野球で仲間づくりの大切さ学んで 飯能地方の元球児らも一緒に汗、地元の少年野球大会で運営支える
「楽しく野球をして仲間づくりの大切さを学んでほしい」―。地域の子どもたちの成長を願う「飯能地方少年野球大会」が今年で57回目を迎えた。少子化で出場チーム数も減少する中、「伸び伸び野球をしてほしい」と願う元球児らの熱い思いが歴史ある大会を支えてきた。
「いいよ、その調子、頑張れー」。8月上旬、整備されたグラウンドに野球少年たちの元気な声が響き渡る。快音とともに球が飛ぶと塁を目指して走り出した。
少年たちの姿を見詰めるのは飯能、日高地区の野球関係者たち。日高市野球連盟事務局長の中山正則さん(69)は「毎年、子どもたちの成長が見られてうれしい。地元の子にとっては『子どもの甲子園』、夢のある大会」と話す。
同大会は青少年育成を目的に1963年から開始。地区の防犯協力会や野球連盟が飯能署と協力して開催し、有志で審判やグラウンド整備などを行っている。地元で「防犯」という名で親しまれる大会は、少子化や野球離れの影響もあり、出場数が徐々に減少。今年は連合チームを含む全12チーム(1チーム棄権)がエントリーした。
「生徒数は減っているが、続けられる限り応援したい」。飯能市野球連盟会長の増田幸三さんは笑顔で試合を見詰める。自身も第1回大会で審判を務めるなど長年、大会に携わってきた。運営側には小学生の頃に出場したという経験者も多いという。
同連盟の柿沼栄二さん(67)もその一人だ。小学6年の時に第2回大会に出場し優勝。「今でも『防犯で一緒に汗かいたよね』と友人と話す。地元の野球少年にとってはこれが原点」とほほ笑む。防犯協力会会長の岡野正さん(69)も「野球連盟と署の協力で開催できている。地域の子どもにとって身近な大会を続けていきたい」と意気込んだ。
今年は熱中症予防のため、開会式の時間を短縮。試合の合間には、炎天下の中、グラウンドを整備する大会関係者の姿も。「子どもたちが伸び伸びプレーできる場を続けていきたい」。野球少年を思う元球児たちの思いが随所に光った。
同署の磯野達也副署長は「チームワークを育んで次のステップにつなげてほしい」とプレーを見守っていた。