「ダ埼玉」は風評…みうらじゅんさん「全貌展」 収集品など1万点超が所沢に 「冷マ」や「ゆるキャラ」も
漫画家やイラストレーターとして活動するみうらじゅんさんの収集品や自作の絵画など1万点以上を並べた企画展「みうらじゅんFES マイブームの全貌展」が15日から、埼玉県所沢市並木1丁目の市民文化センター「ミューズ」で開かれている。開催を前にした12、13両日には、ミューズと芸術文化の連携協定を結ぶ同市の県立芸術総合高校の生徒が展示作業を行った。
みうらさんは大学在学中に漫画家としてデビュー。「マイブーム」や「ゆるキャラ」の命名者として知られる一方で、幼少期から土産物や雑誌の切り抜きなどを収集してきた。
企画展ではみうらさんが集めてきた人形やカセットテープ、栓抜きなどを展示。新型コロナウイルス感染拡大の中で描いた連作の絵画「コロナ画」も展示されている。
13日にはみうらさんと同校生徒8人が共同で展示作業に当たり、マグネットのチラシ「冷マ」を冷蔵庫に張ったり、「ゆるキャラ」の縫いぐるみをケースに並べたりした。
同校3年の島田百合さん(17)は「みうらさんは気さくで面白い人。良い経験ができて楽しかった」。同2年の阿部咲月さん(16)は「みうらさんの人形やマグネット(チラシ)などの数に驚いた」と話した。
また初日の15日にはみうらさんと、作家のいとうせいこうさんによるトークショーも行われた。
企画展は5月7日まで(4月25日は休館)。一般900円、高校生以下500円。チケットなどの問い合わせは、ミューズチケットカウンター(電話04・2998・7777)へ。
■「捨てない」に興味 埼玉は「やるに違いない」
「捨てないことに興味がある」。幼少期から雑誌のスクラップなどを始めた、みうらじゅんさん。集めた物をいかに捨てられないようにするか。そんなことを考えてきたという。埼玉をうたった楽曲を作ったこともあり、「自分の目で見た時に『やるね』と思うに違いない県だと思った」と印象を語る。
「雑誌をそのままとっておいても親に捨てられる可能性がある」。みうらさんはそう考え、小学生の頃からスクラップを始めた。「作品として見るから、周囲も捨てにくくなることが分かった」という。
みうらさんは作家やミュージシャンなど多彩な顔を持つ。イラストレーターの安斎肇さんとのユニット「勝手に観光協会」で作った楽曲「やるねさいたま」には、長瀞町のライン下りや吉見町の吉見百穴などがブルース調の旋律に乗せて歌われている。
「よく見てみると、やっている。僕らの時代は『ダ埼玉』というイメージがあったけど、単なる風評」と、みうらさん。「まず埼玉では『やるねさいたま』を本当のご当地ソングにしてほしい。『やるね』を知らない埼玉県人がいることは、まだまだだと思っている」。こう強調する。
新型コロナウイルス感染拡大の中で描き始めたのが「依頼のない絵」だ。「コロナ画」とし、仏像やワニなど「今までに自分がぐっと来たもの」を描いたという。作品は今回の「マイブームの全貌展」にも展示されている。