埼玉新聞

 

<豚コレラ>小鹿野でも感染、殺処分へ 秩父の養豚場から5・5キロ、感染経路不明…消毒不十分?と指摘も

  • 小鹿野町の養豚場で県内2例目の豚コレラ感染が確認され、緊急対策本部会議に臨む県幹部ら=17日午前、さいたま市浦和区

 県は17日、小鹿野町の養豚場で飼育している豚9頭が豚コレラに感染していたと発表した。秩父市の養豚場で13日に感染が確認されたのに続き、県内では2例目。両施設間は約5・5キロ離れているが、感染経路は分かっていない。県は17日、緊急対策本部会議を開き、大野元裕知事は「非常に遺憾だが迅速な封じ込めが何よりも重要だ」と話した。同日午後5時すぎから小鹿野町の養豚場で飼育している全1118頭の殺処分を開始するとともに、消毒などを進め、感染拡大の防止に努める。20日までに殺処分、防疫措置の完了を目指す。

 秩父市での感染確認を受け、県は半径10キロ以内を搬出制限区域に指定していた。県職員が14日、区域内にある小鹿野町の養豚場を立ち入り検査。経営者から「発育不良の豚がいる」と相談を受けたが、目視の検査で異常はないと判断した。

 15日にも経営者から再び相談があり、16日に県職員が立ち入り調査。一部の豚に食欲低下や発熱、耳や足に紫斑といった豚コレラ特有の症状がみられた。採血して詳しく検査したところ、17日に陽性と判明した。農林水産省に報告し、疑似患畜と判定された。県は発生養豚場から全動物の移動を制限し、養豚場との出入り口を1カ所に制限し、消毒を行っている。

 県畜産安全課によると、制限区域内の養豚場は秩父市2カ所、小鹿野町1カ所。県では13日、秩父市の養豚場で豚コレラの感染が確認された後、異常が見受けられた時は、改めて速やかに報告するよう養豚場に求めていた。

 小鹿野町の養豚場は秩父市の発生養豚場と同じ山梨県笛吹市の食肉処理場に毎週出荷していた。感染経路について、一部の生産者から「処理場に出入りする車両や人を介して豚コレラが拡大した可能性も考えられる」との声があるほか、車両や関係者の消毒対応が不十分だったのではとの指摘も出ている。

 県では豚コレラが発生した養豚農家に対し、速やかに国の手当て金が受けられるよう手続きなどを支援するほか、県でも資金面を含めた経営支援対策を講じる方針。拡大防止に向け、県内の他の養豚農家には、国が設定した飼養衛生管理を引き続き順守するほか、関係車両や生産者への消毒の徹底を求めた。国の補助金を活用した動物侵入を防ぐ柵の設置も速やかに講じるよう周知する。

 秩父市の養豚場では、飼育していた全753頭が殺処分された。県内には県北地域など計85戸で計約9万頭が飼育されている。

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