埼玉新聞

 

先生も生徒も守る盾に…戸田の教員切り付け受け、防災品メーカーが寄贈 オリパラ用に警察が注文の本格派

  • 防犯盾の使い方を説明するスリーライク社の林智輝係長(左)。右は市教委職員=28日、戸田市役所

    防犯盾の使い方を説明するスリーライク社の林智輝係長(左)。右は市教委職員=28日、戸田市役所

  • 防犯盾の使い方を説明するスリーライク社の林智輝係長(左)。右は市教委職員=28日、戸田市役所

 期末試験中の中学校に刃物を持った男が侵入し、生徒らを守ろうと立ち向かった男性教師が重傷を負った事件が起きた埼玉県戸田市の教育委員会で28日、警察官も使う防犯用防御盾300個の贈呈式が行われた。盾はプラスチックの透明なポリカーボネート製で縦110センチ、幅52・5センチ、重さ5キロ。人がすっぽり影に入れる大きさだ。

 贈呈したのは茨城県の防災品メーカー「スリーライク」社。贈呈式で同社の三好衛会長(70)らは「侵入者を攻撃する道具としてではなく、あくまでも生徒たちを守るための盾として使ってほしい」と話した。

 同会長は「戸田市の中学校の事件を知り、何かできないかと考えて、盾を贈呈することにした」と経緯を話した。盾は2021年の東京五輪・パラリンピックのために、警視庁などから注文があって生産したものだという。

 戸ケ崎勤教育長は「高価な盾の寄贈は大変ありがたい。3月1日の事件は新入した男に対して教師が勇気を持って立ちはだかり重傷を負った。あってはならないが、予想だにしなかった事件だった。学校の安全マニュアルの見直しなどソフトやハード両面から対策を検討しているところだ」などとお礼の言葉を述べた。

 同教育長はさらに「日本の学校は性善説により成り立っている。今度の事件を受けて、学校を『要塞化』するのか『開かれた学校』で行くのか、両立は大変難しい。よく検証していきたい」と述べ、防犯の専門家としてのスリーライク社の知見も役立てていきたい、との見解を明らかにした。

 学校長会の会長を務める星野正義新曽北小校長は「事件で負傷したのは私もよく知る教員で心を痛めている。いただいた盾について校長たちの関心は高く、喜んでいる。効果的な活用方法を考えていきたい」と話した。

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