<新型コロナ>5類移行…変わる日常、変わらぬ習慣 期待と不安の飲食店、観光地 「前向きに捉え頑張る」
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが8日、季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行した。県内の商店や飲食店では、感染対策を緩和して受け入れに備える一方、コロナ禍で離れた客足が戻るか不安視する声も。街を歩く通行人はマスク姿の人が多い。コロナとの共生が本格的に始まり、日常は戻るのか。
■不安残るも気持ち新たに/越谷・飲食店街
越谷市のJR南越谷駅と東武スカイツリーライン新越谷駅前の「南越谷ゴールデン街」。同街で15年間居酒屋店を営む島田浩さん(62)も新型コロナの影響で大打撃を受けた。5類移行を受けて「やっとにぎやかな店に戻る」と期待を寄せるが、コロナ禍で自宅などで飲酒する習慣が根付き、客足が戻るか不安は消えない。
コロナ下では時短営業や休業のほか19席あった座席も半数に抑え、利益確保のために慣れないランチ営業も行ったが、収益の柱だった酒類の提供を制限されたことで店舗の存続が危ぶまれた時期もあったという。
最も苦しかったのは昨年だった。多い時期で月額70万~80万円程度の協力金が昨年3月で打ち切られ、多額の税金の支払いに悩まされた。「今年中に売り上げ回復の兆しがなければ、店を閉めなければならないかもしれなかった。そんな矢先に5類移行が決定して、本当に安心した」
店内では、マスクの着用に関しては客の判断に任せる一方、換気や消毒液の設置は続ける。「5類移行を前向きに捉え、時間がかかるかもしれないが、気持ちを新たにおいしい料理を提供できるように頑張りたい」と力を込める。
3年ぶりに会う友人と飲食していた20代の男性は「ここ数年間はルールを守って飲食していても、後ろめたさを感じることもあったが、5類移行で気兼ねなく楽しめる」と笑顔。友人の女性は「5類移行は歓迎だが、今でも感染している人はいる。通勤時などのマスク着用は続けたい」と話した。
■戻ってきたにぎわい 「状況見ながら対応」/川越・商店街
蔵造りの建物が連なる川越市の一番街商店街は大型連休中、多くの人出があった。新型コロナウイルス感染症の分類が5類に移行した8日は、観光客の数も落ち着いた様子。店舗側は「人が戻ってきた」と期待する。観光客は従来からのコロナの対応を「少しずつ緩和するといい」と望む。
道沿いにある雑貨やパンの販売店は5類への移行が決まった後、店舗内の対面シートを外した。従業員は当面マスクを着用し、消毒液も置く。30代女性従業員は「マスクは着用しない観光客が増えてきた」と印象を語る。
「全体的に人が戻ってきた」。ソフトクリームなどを販売する店舗の40代女性従業員はこう喜びつつ、マスクの着脱などは「状況を見ながら対応している」と説明する。
名古屋市から観光で訪れた50代女性は、コロナへの対応に関し「自ら積極的に解除していく方向性ではない」とし、「少しずつ緩和できるといい」と語る。
神奈川県から来た50代女性は医療従事者だ。5類への移行について「今度は扱いに困る」という。「人々の行動が変わってきたとき、インフルエンザと同じにはできないと思う。自分たちでルールを決めないと難しい」と加える。
市の担当者は「今年の連休はインバウンドを含め連日にぎわっている状況だった。コロナが5類に移行し、活気ある川越に戻るのではないか」と話した。