県の事業なのに…対象は39/63市町村 埼玉県「ベビーギフト」受け付け開始 不参加の自治体へ働きかけも
埼玉県は子育て世帯支援のため、今年4月1日以降に子どもが生まれた家庭に最大1万円分の現物を手渡しする「コバトンベビーギフト」の申請受け付けを、10日から専用サイトで開始する。市町村の支援に県が上乗せする形で、参加する39市町村に住む世帯が対象。さらに7市町は本年度中の参加を予定しており、県は対象家庭全てにギフトを届けるため、全市町村の参加を目指して働きかける。
県少子政策課によると、本年度からの新事業として県内63市町村の出生数を見込む計4万5千人分に最大1万円の予算を計上した。市町村の現金や現物支援に県が最大1万円(3分の2)の現物を上乗せし、市町村が手渡しで支給する。ギフトは新生児用品、食品、スキンケアなど支給額ごとに最大6セットから選択可能。委託事業者の生活協同組合パルシステム埼玉の会員であれば、カタログ商品から自由に選ぶこともできる。申請期限は1歳の誕生日の前日まで。
申請書は母子手帳の発行、出生届の提出などの機会を通して市町村が直接対象者に手渡し、ギフトも原則対面の受け渡しとする。現時点で3市町が職員による手渡し、36市町村がパルシステム埼玉による対面の宅配を予定。市町村は申請のなかった家庭を訪問するなどして見守りを行い、子育て世帯が孤立する「孤育て(こそだて)」や「ワンオペ育児」の防止を目指す。
ギフトを上乗せする市町村の事業は第1子から支援することや国庫補助事業でないことなどが参加の条件だが、さいたま、川越、所沢市など24市町は現在、対象となる子育て支援を行っていない。本年度中に7市町(非公表)が補正予算などを活用して支援を開始し、県事業への参加を予定している。市町からは「十分な体制がない」「予算が確保できない」などの声があるという。同課は「担当部局からは比較的前向きな返答があり、今後参加いただけると期待している。趣旨をもう一度丁寧に説明し、働きかけたい」と話している。
大野元裕知事は同日の定例会見で、「県では核家族の割合が全国でも高い。さらにコミュニティーの希薄化、新型コロナウイルスの影響によるさまざまな交流機会の減少などで、これまで以上に孤立感や不安を感じている家庭が増加している」と説明。「地域で安心して育児ができるよう、市町村と連携して切れ目のない支援をしたい」と述べた。