3歳で小児がん発症の小6男児、自作の絵本を治療を受けた病院に レモネードスタンドでも披露する予定
3歳で小児がんを発症し、支援活動「レモネードスタンド」を続ける横浜市の小学6年栄島四郎君(12)が、治療を受けた埼玉医科大国際医療センター(日高市)に自作の絵本「ぼくはレモネードやさん」(生活の医療社)を贈った。
闘病中のつらい場面も盛り込み、「小児がんがどういう病気なのか患者以外にも詳しく知ってほしい」と、今後は自身が行うレモネードスタンドでも披露する予定だ。
友達と遊んだプレールーム、一緒に放射線治療に向かう様子、治療で髪が抜けてショックだったこと―。カラフルな色で表情豊かに描かれた絵本には、同センターでの闘病の様子が多く描かれている。
絵本を受け取った同総務課武久秀夫さん(58)も「病院内のどこを描いているのかすぐに分かる。これは友達と遊んでいた部屋かな」と四郎君と答え合わせをしながら笑顔で読み進める。
絵本は、四郎君が元々レモネードを販売する際に読んでいた紙芝居が原案。大幅にエピソードを加え、今年8月に出版した。
四郎君が小児がんを発症したのは3歳。脳の中心部に腫瘍が見つかり、5歳の頃には同センターで約15時間に及ぶ手術を受けた。
放射線治療などを受けて退院したのはそれから約4カ月後。退院後、母親が読み聞かせてくれた絵本で、小児がんを患った米国の少女が、自宅の庭でレモネードを売って病気への支援を呼び掛けた活動を知る。
小学3年生の時、地元の横浜市で初めてレモネードスタンドを開いた。現在は小児がん患者やその家族らで「みんなのレモネードの会」を結成。同市などで約20回活動を行ってきた。
放射線治療の影響で成長ホルモンが分泌されづらいという四郎君。週に6回のホルモン注射は自分で行い、疲れやすいという合併症の症状とも闘っている。
絵本には、そんな自分の今や同じ病気と闘う友達も紹介。「みんな退院してもまだまだ病気と付き合っていかなければなりません」と言葉を添えた。正しく病気を理解してもらうため、巻末には小児がんの説明も。「どんな病気かちゃんと知ってからレモネードスタンドをやってほしい」との願いが込められている。
母佳子さん(48)は「学校でも病院でもない場所。多くの人と出会って良い交流の場になっているのでは」と活動を見守る。
四郎君の目標は「300歳まで生きて活動を続けること」。「無理なく楽しくやっていけるといいね」と母親と笑い合った。
絵本はB5判で1500円(税別)。問い合わせは、「生活の医療社」(電話03・6820・8371)へ。