山田うどん、13年ぶり「土鍋料理」復活 人気で客増える 3種類の「鍋焼きうどん」、女性の大半が注文
山田食品産業(所沢市)が冬季限定で「山田うどん食堂」で始めた「土鍋」で提供する「鍋焼きうどん」が人気だ。近年、席巻する讃岐うどんチェーンにない料理で差別化を図ろうと、昨年12月から約13年ぶりに「土鍋」を使った料理の提供を始めた。メニュー化で、複数人での来店が見込めるファミリー層の集客につながり、提供初月は大半の店舗で売り上げ、来店客数ともに前年同月を上回るなど、効果が出始めている。
始めたのはエビの天ぷらが付く「五目鍋焼きうどん」(税込み730円)、キムチ鍋風の「スンドゥブ風ピリ辛鍋焼きうどん」(同780円)、鶏の水炊き風の「鶏塩だしの鍋焼きうどん」(同780円)。3種あるのは「複数ある方が、各品を味わおうと何度も来店する動機付けになる」(同社)。土鍋も新規購入した。
価格の700円台は同社の麺類単品では最高価格帯になったが、他の外食店では一般的な千円程度を下回る。「女性客やファミリー客の来店動機になるよう強い印象を与えたい」として、低い価格帯を目指したという。低価格化へ汁は自社で製造するほか、各種食材の仕入れ価格の抑制に努めたという。
提供時間は多少時間がかかるが、値段が割安な点などが受け「ファミリー客からの注文が多い」という。鍋焼きうどんの効果で、2018年12月期は売り上げ、客数ともに前年同月比約3%増となった。特に効果が出たのが、午後5時以降。「ファミリー層が来店し、母親ら女性の大半が注文する」という。
同社では四半期ごとのペースで、メニューの改変や新作投入を行っている。それに向けて料理開発で意識するのは、女性の来店動機になるものや「営業圏の関東圏には近年、讃岐うどんチェーンの出店が増え、讃岐系と差別化が図れるもの」と話す。冬季メニューでもこれらを念頭に検討を進めた。
讃岐うどんチェーンで土鍋料理の提供がない点と、自社製麺の特性に着目。同社のうどんに使う小麦は、17年から全量を国産に転換。セントラルキッチン(入間市)で製造し、ゆで麺状態で各店に配送している。自社で製造する国産小麦のうどんについて「麺を煮込むと温かい汁が程よく染み込む。特性を生かしたかった」。これらを踏まえ、冬の味覚として「鍋焼きうどん」の開発を進め、メニュー化した。
同社では「鍋焼きうどん」の高い人気を引き続き集客につなげたいとして、継続して各種フライなど単品料理の無料サービスなどを行いつつ、利用増を図っていく方針。