埼玉新聞

 

禁止されぬ…ビラNGの埼玉県議会で表示されるWi-Fiユーザー名「憲法守り生かせ」 規則なく発信続ける誰か

  • 「憲法守り生かせ」というユーザー名の公開ネットワークは開会中も記者のパソコンに表示されていた=24日午前、県議会議事堂(画像の一部を加工しています)

    「憲法守り生かせ」というユーザー名の公開ネットワークは開会中も記者のパソコンに表示されていた=24日午前、県議会議事堂(画像の一部を加工しています)

  • 「憲法守り生かせ」というユーザー名の公開ネットワークは開会中も記者のパソコンに表示されていた=24日午前、県議会議事堂(画像の一部を加工しています)

 24日に行われた埼玉県議会の臨時会本会議で、何者かがWi―Fiのユーザー名を「政治的主張」とも受け取れる名称に変更し、表示させていたことが分かった。県議会の規則には抵触しないというが、ユーザー名次第では、特定の議員や個別の議案に関する「主張」も行えるため、議会運営への影響も懸念される。

 同日、県議会議事堂の記者席で使用していた記者のパソコンに、付近の公開ネットワークの一つとして「憲法守り生かせ」というユーザー名のWi―Fiが表示された。当時は開会時間前で、議場には議員ら関係者は入場しておらず、記者席に併設された傍聴席に数人の傍聴者がいるのみだった。

 Wi―Fiにはそれぞれ、機器判別のためにユーザー名が初期設定されているが、ユーザー名は利用者が自由に変更できる仕様になっている。今回の場合も、何者かがユーザー名を変更したWi―Fiを議事堂に持ち込んだ可能性が高いとみられる。ユーザー名は開会中も表示され続けていた。

 県議会事務局によると、県議会傍聴規則では、議会運営を妨げる行為などを防ぐ目的で、やじや拍手の禁止と並んで、張り紙やビラ、プラカード、拡声器などを携帯した人の傍聴はできないと定められている。一方、Wi―Fiを利用した同様の行為を直接禁止する規則はないという。

 近年の県議会では、ほぼ全ての議員がパソコンやタブレットといった電子機器を議場に持ち込んでいる。

 同事務局担当者は「今まで議員は県の貸与パソコンを利用していたが、改選後の今議会から私物の持ち込みに変わった」とし、「(接続操作を個人ですることから)ユーザー名が県議の目に入る可能性も高まる。関係各所と事例を共有し、協議していく」と話す。

 ある県議は、今回のことは知らなかったとしながらも「新しい方法だと感じた。主張は場所を選んで正々堂々と行ってほしい」と語った。
 

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