<県中学駅伝>男子は川口芝東が初栄冠、2位に55秒差つけ快勝 女子は鶴ケ島、2区から追い上げ初V
第27回全国中学駅伝県予選を兼ねた第87回埼玉県駅伝中学の部は9日、熊谷スポーツ文化公園内特設コース(男子=6区間18・26キロ、女子=5区間12・26キロ)に各予選を勝ち抜いた男女それぞれ63校が参加して行われ、男子は川口芝東が56分23秒で初の栄冠を獲得。女子の鶴ケ島も41分41秒で初優勝に輝いた。
男子の川口芝東は1区小瀬が7位で滑り出すと土田、水野で順位を上げ、2位でたすきを受けた44区小笠原でトップに浮上。三宅、原がリードを守り、2位さいたま宮原に55秒差をつける快勝だった。
女子の鶴ケ島は1区小川の12位スタートから、首位に躍り出た3区桑原を筆頭に2区沖田、4区西村の3区間がいずれも区間賞の走りで流れをつかみ、5区大鐘が余裕を持ってゴール。28秒差の2位には1区小川と5区水越が区間賞を獲得した草加が入った。
男女の優勝校が全国中学駅伝(12月15日・滋賀)、上位4校が関東中学駅伝(12月1日・神奈川)に出場する。
■高い自主性、成長の源/男子・川口芝東
5人分の汗とチームの思いがたっぷりと染み込んだたすきを掛けたアンカー原が誇らしげにゴールに飛び込む。男子の川口芝東が悲願の初優勝。一昨年は2位、昨年は5位だっただけに、3年生の原は「届かなかった優勝にやっと届いた。とてもうれしい」と至福の表情で仲間と喜び合った。
1区から流れは盤石だった。主将の小瀬が強敵ぞろいの区間で1位と12秒差の7位で帰ってくると2年生土田、水野の2、3区で2位まで押し上げ、4区の1年生小笠原が「先輩たちからガツガツいっていいと言われていた」と1キロすぎで満を持してトップに浮上。5区の2年生三宅も快走し、原が区間賞の走りでさらに突き放した。
指導者と選手が一体となり、強いチームをつくり上げた。「総合力で勝とう」と言ってきた30歳の神田監督は、名門・春日部共栄高野球部出身。これまで野球一筋で、川口芝東に赴任した昨年から陸上に携わる。
神田監督は「子供たちと一緒に考えながら練習を積んできた」と力を込める。選手たちが体の状況などに合わせ、メニューを提案することも多くなった。まさに身に付けた高い自主性がチームの成長を後押し、大一番での快勝劇につながった。「目的に応じた練習が力になって、自信にもなった」と小瀬。これまでの歩みに胸を張った。
■層厚く夢つかむ/鶴ケ島
厚い選手層が可能にした逆転劇だ。女子の鶴ケ島は2区から追い上げを開始すると、3区で首位に立ち、2位草加に28秒差をつける逃げ切りで念願の頂点。飛び抜けた選手がいない分、2~4区で貯金をつくる狙いがぴたりとはまり、同中OBでもある61歳の田中監督は「私もびっくりしています」と目尻を下げた。
「夢みたい」。4区区間賞の主将西村が目を丸くするのも無理はない。昨年7位だったチームの目標は「関東大会出場」だった。それが夏以降、チーム力が急上昇。アンカー大鐘は「目標が高く持てるようになった」とうれしそうに振り返る。
駅伝部は他部活も合わせ男女85人の大所帯だ。3区の1年生桑原が「仲間が多ければ多いほど、『チーム鶴中で頑張らないとな』って思う」と実感を込めれば、田倍コーチも「全員が同じ方向を向いている時は強い」と力説する。どこにも負けない強固な絆を武器に、初の全国へと乗り込む。
■「力出し切れた」1区区間賞/草加・小川
今夏の全日本中学選手権女子800、1500メートルでいずれも準優勝を飾った実力者が貫禄を見せた。エース区間の1区で小川(草加)が2位に13秒差をつけて同じ1区で2年連続の区間賞を獲得。チームは2位だったが、自身の走りには「全力は出し切れた」と及第点を与えた。
今季、大舞台を経験し「速い人にも最後まで付いていけて、チャンスを逃さないで出られるようにもなった」と成長を実感。翌10日には埼玉の一員として東日本女子駅伝に出場予定で、「区間賞を取って貢献したい」と強い気持ちで連戦に挑むつもりだ。