ボージョレ・ヌーボー解禁 県内イオン、ベルーナ、ヤオコーが独自戦略 消費増税前より安価、売上拡大へ
フランス産ワインの新酒「ボージョレ・ヌーボー」が21日、解禁された。2月に日欧経済連携協定(EPA)でワイン関税が撤廃されたことに対応し、県内の各小売などでは消費増税前より安くし、増税の影響で買い控えがみられるワインの売上拡大を狙う。
一方、各種費用の上昇を背景に欧州産の価格を値下げするのではなく、質の高いワインの販売に注力し、需要の取り込みを目指す小売もみられる。
仏産ワインにはこれまで15%の関税がかかっていたが、日欧EPAで完全撤廃された。
国内の家庭用ワイン市場で大きな販売シェアを持ち、ボージョレの販売量は国内最大級とされるイオン。今年のボージョレは、世界各地の産地から直接輸入している強みを生かし、単純計算では750ミリリットル換算で最大93円値下げする。
直接輸入する欧州産ワインのうち、約500種類を昨秋から今春にかけて最大で約1割値下げした。ただ消費増税で酒類の税率が8%から10%に上がり、ワイン全体の販売が伸び悩んでいるという。
「日欧EPA発効後の初のボージョレ商戦で欧州産ワインの関心を高めながら、反転攻勢を掛けたい」とした上で、今年の商戦では前年超える売上を達成したいと意気込む。
ワイン通販の年間売上が10年以上トップ(東京商工リサーチ調べ)のベルーナ(上尾市)。ボージョレの需要喚起へ、異なるボージョレを2本以上組み合わせた商品を複数設定し販売を推進。価格は関税撤廃分を反映させつつ、まとめ買い割引として各品で2~5割値下げした。
値下げ効果もあり各品は売り切れが相次ぐ。日欧EPA効果を認めながら「良い流れに乗り、今年の商戦の売上は前年比10%増を狙いたい」と力を込める。
ヤオコー(川越市)は数年前に直輸入ワインの販売を始めた。熊谷市の物流拠点にワイン専用の低温管理倉庫を整備したほか、毎月ワインを割り引く日を実施するなど販売を強化している。扱う輸入ワインは約80種で主な価格帯は700~1000円程度だ。
今年のボージョレは日欧EPAで欧州産ワインの需要などが高まったこともあり、事前予約は前年を上回った。
輸入する欧州産ワインへの価格反映については、輸送費の上昇などもあり「関税撤廃とはいえ、価格面に反映しづらいケースもある」と指摘する。
今後は価格面を訴求するより、バイヤーが厳選した質の高いワインの取りそろえに注力し、高まった需要を確実に取り込みたいと説明。その上で「直輸入するおいしい、食事に合わせやすいワインの販売に努めていきたい」とした。